「本物のトヨタ2000GTボンドカーに試乗!!」もはや国宝級だけに運転できただけで幸せです【旧車試乗】
行方不明だった「2000GT」ボンドカーはどこに?
前ページで記したとおり、映画『007は二度死ぬ』のためにトヨタは、わずか2週間という短期間で2台の2000GTロードスターを製作した。1号車は劇中車として、2代目クラウンとカーチェイスシーンも展開した個体。一方の2号車は、撮影中のトラブルに備えて用意された予備車両である。

1号車は、映画の完成披露後にプロモーション活動などで世界を巡回したのち放出され、ブルーメタリックにリペイントされた状態で、ハワイにて発見された。こちらはのちにトヨタ自動車が買い戻し、現在では愛知県長久手市の「トヨタ博物館」に所蔵されている。
そして予備車両の2号車は、富士スピードウェイでマーシャルカーとして使用されたのち解体処分された……、というのが定説だったそうだが、実際には国内の某所で長らく放置状態のまま残されており、上下2段式の屋外駐車場で野ざらしとなっていた。
このままでは完全に朽ち果てるか、あるいは海外に流出してしまう。そう危惧したのは、日本を代表する自動車コレクターのひとりであり、トヨタ2000GTの世界的オーソリティとして知られる「AutoRoman」の諸井猛氏だった。
●スクラップ寸前から救出されて、みごとに蘇った2000GTボンドカー
そして彼は、今世紀の初頭にこの2号車の所在と所有者に関する情報を得て、オーナーとの度重なる話し合いを経たうえで入手。さらに事実上のスクラップ状態となっていたボンドカーを、往年の姿によみがえらせようと決意したのだ。
諸井氏といえば、CS放送MONDO TVの人気コンテンツ「旧車TVレストア・ファクトリー」でもおなじみのように、数多くのトヨタ2000GTを修復してきた素晴らしいノウハウの持ち主である。しかしそんな彼にとっても、試作車をベースとするボンドカーのレストアは極めて難しいものだったという。
市販型2000GTとはかなり相違点が多い上に、3M型エンジンはボンドカー1号車では市販型用に載せ替えられているのに対して、こちら2号車には唯一残存しているオリジナルの試作型がそのまま搭載されている。さらに、おそらくは現物合わせで製作したであろう当時のデータなども、もはやほとんど失われていたとのことである。
それでも諸井氏は、ありとあらゆる資料や映像、あるいは当時を知る関係者の証言なども分析しつつ、偉大な文化遺産である2000GTボンドカーの復元に邁進した。
このレストアの際、かつて「ボンドガール」若林映子の代わりに、長い髪のカツラをかぶってショーン・コネリーのとなりで運転しつつ、実は同時にクラウンを運転する悪役にも扮していたという元トヨタのワークスレーシングドライバー兼テストドライバーの大坪善男氏から、貴重な証言を得ていた。
富士スピードウェイでマーシャルカーを務めていた時代に2号車を走らせた経験のある大坪氏曰く「2号車は補強されていないから、走るとドアが勝手に開いてしまう」とのこと。そこで諸井氏は、1号車と同じくサイドシルに補強を加えた。
こうして足掛け8年も要した綿密なフルレストアの結果、トヨタ2000GTボンドカー2号車は、不死鳥のごとく蘇ったのである。
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