「本物のトヨタ2000GTボンドカーに試乗!!」もはや国宝級だけに運転できただけで幸せです【旧車試乗】
夢のボンドカーを実際に走らせてみた
トヨタ2000GT、しかも本物のボンドカーのドライブインプレッション。そんな夢のような企画は、今回もオーナーである諸井猛氏の優しいサプライズからスタートした。
先般、試乗レポートをお届けした後期型トヨタ2000GTを取材していたさなか、諸井氏から「未登録だから工場の敷地の外には出られないけど、よかったらボンドカーにも乗ってみる?」とのお言葉を受けたのだ。
それは、狂喜乱舞してしまうほどに嬉しい申し出だったのは間違いない。しかし2000GTボンドカーといえば、もしも将来、自動車という乗り物が対象になる日が来るならば、国宝に指定される、もしくは世界遺産に登録されてもおかしくはない人類の至宝である。

当然のことながら、あまりの重責に恐縮した筆者は固辞したのだが、諸井氏は「前期型と後期型の違いを体感するためにも、ぜひ乗ってみて」とのこと。そのお言葉をありがたくお受けし、覚悟を決めてドライバーズシートに収まることにした。
こうして目の前に現れた2000GTボンドカーは、プロトタイプをベースに約2週間という突貫作業で製作されたものながら、そのスタイルはあまりにも美しい。傾斜を強めたウインドシールドや、まるで生産車のように成形されたテールのラインは、あたかも当初からオープンモデルを企画していたのではとさえ思わせるような様式美を湛えている。
●国宝級の一台のドライブフィールとは?
そんな芸術的な美しさと「本物の2000GTボンドカーである」という事実に圧倒され、寒い中でも脂汗が出るほどに緊張しながらスタートしたのだが、いざ走らせてみるとあっけないほどの乗りやすさを披露してくれた。
この個体には、イタリア・ウェーバー社製ツインチョーク式キャブレターが三連装されている。スタンダードの2000GTは三国ソレックス三連装なので、これは諸井氏によって改造されたものと思いきや、実は2000GT二次試作車の数台にはウェーバー・キャブレターが当初から実験的に装着されていたという。
クラシックカーに造詣の深い方ならご存知のことだろうが、ウェーバー・キャブレターは調整さえちゃんとおこなわれていれば、ソレックスと同等かそれ以上に扱いやすい。このボンドカーでも、ていねいなアクセルワークを心がければ息つきなども皆無で、ここちよい吸気音とスムーズな加速感を味あわせてくれる。
もともとトヨタ2000GTは、1960年代のスーパースポーツとしてはとても乗りやすいクルマであることは、前回の後期型2000GTのレポートでもお話ししたとおりである。それは、急ごしらえの改造車であるはずのボンドカーであっても変わらず、ハンドリングや乗り心地も2000GTの美徳をそのまま受け継いでいるかに感じられる。
加えて、シャシに補強が施された分だけ腰下が重くなっているとはいえ、やはりスチールとガラスで構成されるルーフが取り去られているせいか、身のこなしは同じ日に体感した後期型2000GTクーペよりも明らかに軽快。
前期型2000GTの特徴である「トヨタ1600GT5」と共通の5速マニュアルトランスミッションゆえの、ちょっとデリケートだがダイレクトなシフトフィールも相まって、後期型よりも明らかにライトウェイトスポーツ感が強調されるのだ。
かくして、緊張とめくるめく感動に脳内が痺れっぱなしになりつつも、無事に2000GTボンドカー2号車の試乗を終えることができた。
走行距離は数kmていど。敷地内の走行ゆえに、ようやく3速に入るかどうかくらいの条件ながら、間違いなく人生最高のドライブ体験のひとつとなったのである。
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