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マツダ新型「CX-60」はウワサどおりの“いいクルマ”なのか? 人気の「CX-5」と比べてみた

DセグメントSUVのライバルと肩を並べたボディサイズ

「CX-60」はマツダ渾身のニューモデル。既存車種のフルモデルチェンジではなく、新たにラインナップへ追加されるニューカマーだ。

マツダ渾身のニューモデルCX-60は、CX-5と比較するとバリューの高さが際立つ
マツダ渾身のニューモデルCX-60は、CX-5と比較するとバリューの高さが際立つ

 CX-60は2列シートモデルでありながら、全長4740mmとボディサイズが大きい。これまでのマツダ車には存在しなかったポジショニングだ。それだけに、クルマの全容をなかなかつかめない、という人も多いのではないだろうか。

 そこで今回は、これまで日本市場向けとして2列シートSUVのフラッグシップを担ってきた「CX-5」などとの比較を通じて、CX-60の素性を解き明かしていきたいと思う。

 まずボディサイズから見ていこう。全長4740mm、全幅1890mmと、CX-60はCX-5に対して165mm長く、45mmワイド。端的にいえば、ひと回り大きい。しかし全長に関しては、トヨタの「ハリアー」と同じといえば、思ったほど大きくはないと感じる人も多いのでは?

 参考までに、マツダのフラッグシップセダンである「マツダ6」の全長は4865mmだし、そのステーションワゴンは4805mmだから、CX-60はそれらより全長が短いことになる。ただCX-60はワイドなので、駐車場に停める際などには注意をする必要がありそうだ。

 CX-60のサイズ設定が意味するところは、国際的な“Dセグメント”SUVに照らしあわせてみるとよくわかる。代表的な車種であるハリアーをはじめ、トヨタ「RAV4」、ボルボ「XC60」、メルセデス・ベンツ「GLC」、BMW「X3」、そしてアウディ「Q5」などと比べてみると、CX-5はそれらよりひとまわり小さい。一方、新しいCX-60は、ライバルと並ぶサイズとなったわけだ。

 厳密にいうと、CX-60はライバルに比べてわずかに大きいが、その差はライバルたちがフルモデルチェンジした際にサイズアップするのを見込んでのことだろう。

●大排気量の直6&後輪駆動を採用した理由

 そして、CX-60とCX-5を比べた際、ボディサイズ以上に大きく異なる点がメカニズムだ。4気筒エンジンを横置きにレイアウトする前輪駆動ベースのCX-5に対して、CX-60は直列6気筒エンジン(4気筒の設定もある)を縦置きに搭載する後輪駆動ベースとなっている。

 そもそも、昨今はエンジンの大きさや排気量を小型化するのが一般的。コンパクトカーの世界では、4気筒どころか3気筒も一般的な状況になりつつある。そんななか、マツダは新規プラットフォームの開発に際して、あえて直列6気筒エンジンの搭載を前提としてきたのだから驚かされる。

 この点について、開発陣は次のように説明する。

「直列6気筒エンジンを採用した最大の理由は、力強さと環境性能を両立するためです。パワーと環境性能を両立させるには、実は排気量を大きくした方がいいのです。同じトルクを発生させるのであれば、一般的に、排気量が大きい方がエンジン回転数を下げられるからです。

 そのため今回、シリンダーを増やした6気筒エンジンを搭載したのですが、V型ではなく直列を選択したのは、これまでの4気筒エンジンで培ってきたノウハウを生かすためです。さらに、そんな直列6気筒エンジンを収めるため、横置きではなく縦置きレイアウトを採用しました。

 その結果、駆動方式は後輪駆動ベースとなったのですが、後輪で大地を蹴るドライブフィールと、サスペンション設計の自由度が高まったことによるドライバビリティの向上もあって、走る楽しさもアップしています」

CX-60の3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジン
CX-60の3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジン

 加えて新プラットフォームは、エンジンルームでストレートにフレームを通せることによる衝突安全性の向上や、伸びやかなプロポーションによるデザイン性のアップといったメリットもCX-60にもたらした。さらに“後輪駆動”という記号性も、前輪駆動ベースのライバルに対し、特別感を与える要素となるだろう。マツダにとってスポーツカー以外では21年ぶりという後輪駆動レイアウトへの転換が、どのような成果を挙げるか興味深い。

NextCX-5よりも格上げされた上級グレードのパワートレイン
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