ホンダのキーパーソンが語る! 新型「シビックタイプR」はなぜ困難な情勢下でも開発を止めなかったのか?
立ち止まったらライバルたちに置いていかれてしまう
ついに正式発表されたホンダのピュアスポーツカー、新型「シビックタイプR」。先代モデルから引き続き開発責任者を務める柿沼秀樹さんの言葉には重みがある。
「『これでいい』と思うのは、開発が終わったその日だけです。翌朝からは、改良型や次期型など、再び次の課題に向かっていかなければなりません。大切なのは“どこを伸ばせるのか”を追求することと、ストイックに自分と向き合うこと。己を超えていかなければいけないのです」

シビックタイプRは、ホンダの最高峰スポーツカーとして先代を超えることを常に宿命づけられているのと同時に、ライバルを超える速さを達成する必要がある。いうまでもなく、ライバルはどんどん進化する。それを超えていくことは“並大抵の苦労”というレベルの表現では済まされない。
柿沼さんはメディア向けに開催された新型シビックタイプRのプレゼンテーションにおいて、「私たちはコロナ禍という困難な情勢下においても決して開発を止めませんでした」と、さりげなく語った。もしかするとメディア関係者のなかにも、この言葉の本当の意味を理解できた人間は少ないかもしれない。
なぜなら、それは単に「大変な状況でも開発を進めてきました」といったレベルの話ではないからだ。「立ち止まったら(走り続ける)ライバルたちに置いていかれてしまう。それはシビックタイプRのような最高峰のスポーツモデルとして許されないこと」という宿命を、スポーツカーは常に背負わされている。
実際、新型シビックタイプRの開発陣は、2021年秋に市販車開発の聖地とされるドイツ・ニュルブルクリンクを訪れているが、当時はまだまだ海外渡航が難しいタイミング。日本の自動車メーカーのスタッフが海外出張するというのは異例の時期だった。それでもシビックタイプRの開発陣は「コロナ禍くらいで世界に遅れをとっている場合ではない」との危機感を持ち、全身全霊をかけて開発を進めてきたのである。
●タイプR専用のパネルが増えたエクステリア
そんな新型シビックタイプRの第一印象は「スマートなルックスになったな」というものだった。
ベースモデルとなる「シビック」自体がそうであるように、新型タイプRもまた、従来の“ガンダムルック”と呼ばれるすごみのあるスタイルから、シンプルなデザインとなった。なかでも注目に値するのは、ボディに後づけされるパーツが減ったことだ。
先代は、フロントフェンダーだけ専用パーツがおごられ、リアのオーバーフェンダーは標準モデルのパネルの上に樹脂製のパーツがあしらわれていた。しかし新型は、リアドアとリアフェンダーも専用品となり、ドアとフェンダー自体がワイドなデザインとなっている。ちなみにリアウイングも、「いかにも!」という堂々とした先代のデザインから、いくぶんスマートになっている。
新型シビックタイプRのボディパネルで、標準モデルのシビックと共用しているのはフロントドアとルーフ、そしてピラーのみ。ノーマルモデルとここまでつくりわけられたのは、シビックタイプRの歴史上、初めてのことだ。
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