燃料電池車をディスりながら実はこっそり開発していたVWの気になる特許技術 トップの交代で未来は変わる?
燃料電池車に否定的だった前CEO
VW(フォルクスワーゲン)グループのCEO(最高経営責任者)を2022年9月に退任したヘルベルト・ディース氏。彼はVWがEV(電気自動車)へと舵を切ることを全面に打ち出したのと同時に、テスラ社のイーロン・マスクCEOとともに燃料電池や水素を“ディス”っていました。

「自動車に水素を用いることはない」、「10年経とうとも、水素を用いることは理にかなっていない(駆動用バッテリー+電気モーター+燃料電池という構成よりも、駆動用バッテリー+電気モーターでいいじゃないか、という趣旨)」などのコメントが『フィナンシャルタイムズ』に掲載されたこともあるディース氏。
VWのWEBサイトでは、「ストーリズ」として今でも水素の非効率性について記したコンテンツを公開しています。もっとも、水素を全否定しているわけではなく「ニッチ向けである」との主張でした。さらに「トラックやバス、長距離走行に向いている」とまで記述されており、「既存の長距離トラック向け施設の改装で対応できる」とまで記されています。
そんなVWですが、ドイツの燃料電池メーカーであるKraftwerk Group社と共同で、新しい燃料電池の特許申請をおこなったことが明らかになっています。「あんなに燃料電池に否定的だったのに……」とついつい思ってしまいます。
●燃料電池の技術も着々と進化させるしたたかさ
もちろん、メーカーにとって技術は“力”ですから、どんな研究もムダではない、というスタンスは褒めるべきことなのかしれません。
で、気になる特許申請の内容ですが、その特許技術によって、従来のポリマー燃料電池とは異なり、レアメタルであるプラチナを使用せずに済むんですって。
要するに、その特許技術を使えば、燃料電池の製造コストが大幅に削減できる見込みだそうです。
しかし、ちょっと調べてみると、過去にはスタンフォード大学と共同でプラチナ使用量を大幅に削減させた燃料電池をつくっていました…。
また、現在、燃料電池に使用されている“プラスチック膜”に代わり、“セラミック製の膜”を使用するそうです。プラスチック膜は水にぬらす必要があるため、冬は凍結、夏には乾燥やカビ発生のリスクがあるそうなのですが、セラミック膜ならそれも大丈夫とのこと。よって優れた耐久性も見込めるらしいです。
なおKraftwerk Group社では、燃料電池車の航続距離はリチウムイオン電池の進化ではなく、固体式電池の採用がカギと見ているようです。それこそ、1度の水素充填で2000kmは走れるだろう、と見込んでいるとのこと。
VWは最近の業績発表でEVの販売台数アップを盛んにうたっています。燃料電池をディスり続けながら、どんどん燃料電池を進化させている、そんな雰囲気です。ディースCEO退任後、VWが燃料電池について方針転換を打ち出すのか否か、ちょっと気になるところです。
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