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軽自動車が初の快挙! 日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」が“2022年を代表するクルマ”に選ばれた理由

COTYの常識を打ち破った軽自動車のEV

 日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」が快挙を成し遂げた。43回に及ぶ歴史上、軽自動車が初めて「日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下、COTY)」の大賞に輝いたのだ。

43回に及ぶ歴史上、軽自動車で初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーの栄冠に輝いた日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」
43回に及ぶ歴史上、軽自動車で初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーの栄冠に輝いた日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」

 日本ではいまや約4割の市場シェアを持つまでに成長した軽自動車だが、“その年の日本を代表するクルマ”という評価を獲得するまでには至っていなかった。これはCOTY選考委員のみならず、多くのユーザーの共通認識だったと思う。

 だからこそ、COTY実行委員会は「K CAR オブ・ザ・イヤー」という部門賞を設け、本賞とは別に軽自動車を表彰することにしていた。そんな常識をサクラとeKクロスEVはなぜ破ることができたのだろうか? ほかならぬ僕自身、今回はこの2台に最高点の10点を投じた。その理由をCOTY公式ページ向けに次のように書いている。

『航続距離を伸ばすには大容量バッテリーが必要だが、容量を増やせば価格が高くなる。サクラ/eKクロスEVはこのジレンマを軽自動車の使われ方に着目することでクリアした。軽自動車は1日あたりの走行距離が短いため航続距離を180kmとし233.3万円~という価格を実現。それでいて軽自動車をはるかに超える走行性能を与えている。欧州、アジア、ブラジルといった海外での販売を計画している点も高く評価した。日本の宝である軽自動車がグローバルモデルとしていよいよ本格的な海外進出を果たすことになる』

 文字数の制限があるため、かなりざっくりした文章になってしまったので、ここで改めてサクラとeKクロスEVを高く評価した理由を詳しく解説していくことにする。

2009年に世界初の量産EV「i-MiEV」を発売した三菱。「eKクロスEV」にはその際に培ったノウハウが息づく
2009年に世界初の量産EV「i-MiEV」を発売した三菱。「eKクロスEV」にはその際に培ったノウハウが息づく

『航続距離を伸ばすには大容量バッテリーが必要だが、容量を増やせば価格が高くなる』

 この一文の意味するところは、EV(電気自動車)の普及を妨げているバッテリー価格の急騰問題だ。2022年12月22日、日産自動車は「リーフ」の値上げを発表した。バッテリー容量40kWhのモデルで37万円、バッテリー容量60kWhモデルにおいては実に103万円という大幅値上げとなった。

 ほかにも、ボルボが「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」を60万円値上げするなど、このところEVの値上げが相次いでいる。ステランティスに至っては、北米にあるEV工場を無期限停止にした。この背景にあるのは、資源価格の高騰だ。

 特にリチウムイオンバッテリーの原材料であるリチウムの価格は、この2年で14倍へと暴騰。EV価格の30~40%はバッテリー価格なので、バッテリー原材料の高騰はEVのコストに直結する。おそらく100万円値上げしても、日産の懐には大した額は残らないはずだ。

 実はサクラ/eKクロスEVも、リーフと同じタイミングで10万円~16万円の値上げを実施したが、バッテリー容量が小さいためその程度の上昇幅に収まったともいえる。

 なぜリチウムがこれほど高騰したのかといえば、需要と供給のバランスが崩れたからだ。EVの販売台数急増に対し、リチウム鉱山や精製工場の増加が追いついていない。供給より需要が高ければ価格が上がるのは当然の理屈である。まあ14倍ともなると投機筋の影響を感じざるを得ないが、それでも中長期的に見て価格が大幅に下がるのは期待薄だ。

 プレミアムブランドのEVなら価格が上がろうと買う人は買うだろうが、普及価格のクルマだとそうはいかない。エコカーは普及してこそ意味があるわけだが、このままいくとEVは一部の金持ちのエコアピールのための道具になってしまうだろう。

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