アストンマーティン「DBX」に見るテスト車両の擬装ラッピング
DBXのテストカーが示す、新たな擬装ラッピングの可能性とは
普通、擬装ラッピングされたテスト車両は、そもそもメーカーすらもわからないように擬装が施されるものだ。しかし、DBXのテスト車両はメーカーロゴだけでなく車名までさらしている。
DBXは開発の早い段階から、市販モデルとほぼ変わらない偽装したテスト車両の写真を公開していた。それはアストンマーティンがSUVを作るという情報が本当であるというアピールにもなり、ラグジュアリー・スポーツSUVを欲する人たちの購入検討リストにあがるほどの信憑性の高い情報であった。
さらに最終開発テストに使用されたであろう、「DBX」という文字を赤色でデザインしたテスト車両は、ピレリやビルシュタインといったDBXのパートナーのロゴだけでなく、アストンマーティンのブランドパートナーであるタグ・ホイヤーのロゴまでも大きく冠されている。
つまり、開発テスト用の車両がそののまま、DBXという車名やブランドパートナーのアピールにもなっているのだ。
では、テスト車両のDBXの両ドアに描かれた、翼を持ったドラゴンはいったい何を意味しているのだろうか。アストンマーティンの羽を広げたバッヂは、スカラベという昆虫の羽がモチーフになっているが、ドラゴンとはまったく縁はない。
この赤いドラゴンは、「ウェルシュ・ドラゴン」と呼ばれ、ウェールズを象徴するドラゴンである。DBXは南ウェールズのセント・アサンに建てられた新工場で生産がおこなわれる。
つまり、ウェルシュ・ドラゴンは、DBXがウェールズで生産されることを誇らしげに象徴しており、ドラゴンの下に書かれた「INVESTING IN WALES(ウェールズへ投資)」という文字は、アストンマーティンがウェールズの雇用拡大に貢献していることのアピールでもあるのだ。
開発終了間際のテスト車両は、どのメーカーのクルマでも非常に注目を集めるものだ。ティザー的な広告で消費者の関心を引く手法もあるが、そもそも注目度の高い擬装ラッピングをしたテスト車両に、いろいろなメッセージ性をもたせるアストンマーティンの手法は、これからの擬装ラッピングの主流になるかもしれない。
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