三菱の新型「デリカミニ」はなぜ売れてる? 先代に比べてどこが進化した? スマッシュヒットの理由を検証する
頑張っている感じが皆無のキャラ感が強いエクステリア
三菱自動車が先ごろ発売した新型「デリカミニ」。発売前日までの受注台数が約1万6000台を記録するなど、スマッシュヒットを記録しています。

デリカミニの直接的なライバルは、スズキ「スペーシアギア」やダイハツ「タント ファンクロス」といったモデル。すべてに共通するのは、軽自動車の“スーパーハイトワゴン”をSUVテイストに仕上げているところです。そう、いまやこのクラスにまでSUV人気の波が押し寄せているのです。
そんな新ジャンルの人気をけん引しそうな勢いのデリカミニは、今回、“新型車”という扱いで登場したものの、実はベースモデルが存在しています。それが、かつて存在していた「eKクロススペース」です。
乱暴にいうなら、デリカミニの車体はeKクロススペースと同じであり、前後デザインと車名を変更しただけ。すなわち通常なら“マイナーチェンジ”扱いの車種なのですが、それと同時に車名を変えたことで新型車となったのです。
先代モデルに相当するeKクロススペースがデビューしたのは2020年3月のこと。すなわちフルモデルチェンジから約3年という短いスパンで、ネーミング変更まで伴う路線変更がおこなわれたのでした。
結果からいえば、今回の車名とコンセプトとスタイリングの変更は大成功。2022年の1年間でeKクロススペースが記録した販売台数は、車体を共用する「eKスペース」も含めて1万3648台だったのに対し、デリカミニは予約注文だけでそれを上回る約1万6000台を記録したのですから。
さらにもうひとつ、デリカミニが成功しているといえる理由は、高価格帯のモデルが売れていること。予約注文のうちの実に65%が、ターボエンジンを搭載する上級グレードだといいます。
デリカミニのグレードラインナップは、自然吸気エンジンを搭載するベーシックグレード「G」と、ターボエンジン搭載モデルのベーシックグレード「T」、それらに全方位カメラや電動パーキングブレーキ、アルミホイール、運転席側電動スライドドア(助手席側は全車標準装備)などを加えた上級グレード「Gプレミアム」と「Tプレミアム」の4つ。その最上級グレードが人気ナンバーワンであり、しかも約7割の人がターボエンジン搭載車を選んでいるというのは、軽自動車としては珍しい傾向です。
デリカミニは何が魅力なのか? 1万6000人はこのクルマのどこに共感してオーダーしたのか? その理由は実車を前にすればすぐに分かります。まずデリカミニは、そのルックスがもたらす雰囲気が魅力的なのです。
「デリカ」といえば三菱自動車が長年展開しているミニバンであり、デリカミニもそのイメージを踏襲しているのですが、ひと目見て感じたのは、デリカミニには“頑張っている感”がまるでないこと。いい意味で、肩に力が入っていないのです。
先代に相当するeKクロススペースは、フロントグリルが大きく大胆で、メッキによるデコレーションなども多い精悍な顔つきでした。デリカミニに比べると高級感もあったのですが、そのおかげで「頑張っている感じ」が強かったのは否めません。この手法はラージサイズのミニバンや高級セダンであれば受け入れられるのでしょうが、軽自動車では「無理して頑張っている」とか「背伸びしている」という印象が拭えません。
一方のデリカミニは、フロントグリルが小さい上に、メッキなどの飾りも少ない自然体。加えて、「デリカD:5」の前期型をモチーフにしたコミカルな顔つきは愛嬌があり、頑張っているというよりもおもちゃのようにかわいげです。大きく高価なクルマに見せようと頑張っていない、肩の力が抜けた感じなのです。
そんなルックスが多くの人に刺さったのでしょう。デリカミニが成功したのは、車体が小さいからといって大きく見せることにこだわらず、「これなら乗りたい」と思わせるキャラクターを巧みなデザインで構築した点にありそうです。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
“時を愉しむ”という究極の贅沢――カンパノラ「星響」と巡る、足利・静寂とウェルネスの旅【PR】