国産メーカーも驚愕!? 中国車ブランド「BYD」は日本車の脅威となるのか? 「上陸第1号」のコンパクトSUVに乗って考える
日本では低いブランド力や知名度をいかに高めるか
そんなATTO3で何よりも驚いたのは、動的性能の高さでした。「出来のよさは予想のはるか上」というのが正直な印象で、脅威的に感じるほどの出来栄えです。

まず第一に、乗り心地がいいのが印象的です。
一般的に、重いバッテリーを積むEVは、それを支えるべくサスペンションを硬めにしたモデルが多く、路面の段差などで生じる衝撃をダイレクトに乗員へと伝えがちです。
しかしATTO3は、路面からの入力をしっかりといなし、快適な乗り心地を提供してくれます。
さらに、コーナリング時の挙動も上々。車体の動きが落ち着いているため不安感がなく、ハンドリングも唐突な部分がなくて扱いやすいのです。
そんなATTO3の走りを体験して、「見える部分だけがよければいい」なんて考えがBYDには微塵もないことに驚きました。
走る・曲がる・止まるという動的性能に加えて、乗り心地も磨き上げないと世界では通用しないということを、開発チームはしっかりと理解しているのでしょう。
ATTO3はこれまでの中国車とはクルマのつくり方が大きく転換したモデルといえるのではないでしょうか。
その上で驚異的なのが、価格設定です。440万円〜というプライスタグは、航続距離がほぼ同じ日産「リーフe+」よりはるかに安いのです。
ATTO3には多彩な先進安全装備やACC、ガラスルーフなどが標準装備されることを考えれば、100万円以上の価格差があるといってもいいでしょう。
さらに、国や地方自治体から補助金を考慮すれば、購入時の金銭的ハードルが同クラスのハイブリッドカーと同等という地域もあります。このハイコスパを実現したことこそが、ATTO3のスゴさではないでしょうか。
* * *
BYDとATTO3の現時点における日本市場での弱点は、ブランド力や知名度が低いこと、そして、中国車に対するイメージの悪さでしょう。
低価格で十分な性能を備えてはいるものの、信頼性の領域はまだまだ未知数。ユーザーを満足させられるか否かも気がかりです。この辺りは、ディーラー網の整備や各店舗の対応などによっても左右されることでしょう。
家電のジャンルでは、性能はそこそこながら手頃な価格の海外製を選ぶ人が増えています。実際、ドローンやカメラのジンバルなどは中国製が世界を席巻中です。
時間が経てば、クルマだってそうなるのかもしれません。グローバルマーケットで中国車が日本車の脅威になりつつあるのと同様、日本市場でもそうなる恐れがあるのです。
だからこそ、そうなる前に日本メーカーがATTO3を超える商品力を備えたEVを送り出して欲しいと、日本のクルマ好きである筆者は思うのでした。
●BYD ATTO3
・車両価格(消費税込):440万円
・全長:4455mm
・全幅:1875mm
・全高:1615mm
・ホイールベース:2720mm
・電気モーター:交流同期電動機
・最高出力:204ps/5000〜8000rpm
・最大トルク:310Nm/0〜4433rpm
・駆動用バッテリー総電力量:58.56kWh
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)235/50R18、(後)235/50R18
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