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“Z史上最強”420馬力エンジンの実力とは? 斬新なエアロパーツがカッコいい! 日産「フェアレディZ NISMO」公道での印象は?

さらなる速さを求めてチューニングした“特別なZ”

 これは割り切りが生んだスポーツカーだな……日産「フェアレディZ」のラインナップに追加された特別なモデル「フェアレディZ NISMO」をドライブして、そんな印象を強く抱きました。

快適性には目をつむり、サーキットで極限の走りを楽しむ際に最も光輝くスポーツカーとしてセッティングされた日産「フェアレディZ NISMO」
快適性には目をつむり、サーキットで極限の走りを楽しむ際に最も光輝くスポーツカーとしてセッティングされた日産「フェアレディZ NISMO」

 Zは「GT-R」と並ぶ、日産自動車の誇るスポーツカー。2022年に大幅な改良を受け、それまでの自然吸気式からターボチャージャーつきとなったエンジンは、ベースモデルでも405psを誇ります。

 また、初代など歴代Zのモチーフを随所にあしらったデザインも高い評価を受けていて、モダンですがノスタルジックな雰囲気に仕上がっています。

 現行Zが置かれている状況も、ノスタルジックな印象を強める要素になっています。なぜなら日産自動車のモデルにおいて、モーターがつかないハイパワーエンジン搭載のスポーツカーは、このZが最後になると思って間違いないため。つまり最新のZは、日産自動車が手がけてきた純ガソリンエンジン搭載のスポーツカーにおける集大成のような存在なのです。

 今回フォーカスするZ NISMOは、そんなZにさらなる速さを求めて手を加え、日産直系のモータースポーツブランドであるNISMO(ニスモ)の名を冠した特別なZです。

 独自のスタイリングが与えられただけでなく、“Z史上最強”となる420psまでパワーアップしたエンジン、クラッチプレートを増やすなどメカニズムを強化しつつ、変速スピードを速くしたAT、そして、補強が加えられたボディに専用のサスペンション&ブレーキなど、多岐にわたって性能向上が図られています。ベースモデルよりさらにハイレベルな走りをねらった仕様、それがZ NISMOなのです。

 またインテリアも、レカロ製シートの採用を始め、レーシーなイメージのレッドを各部のアクセントに加えるなど、専用の仕立てとなっており、ベースモデルよりもひときわスポーティに仕上がっています。

 Z NISMOが独自のスタイリングを与えられたのは、単にデザインのためではなく、ダウンフォースを増やして高速領域での走行安定性を高めるため。走行中のクルマの状況を感じられる人であれば、高速領域で路面に吸いつく感覚を体感できることでしょう。

 専用デザインのエクステリアに特別感を覚えながらドアを開け、インテリアに目を配ると、赤のアクセントを添えたスポーティな演出がドライバーの気分を盛り上げます。

 Z NISMOのコックピットは、ベースモデルに対してデザインが変更されているのはもちろんのこと、このモデルならではの特別な装備も見て取れます。

 まずドライブモードは、ベースモデルにも設定される「スポーツ」に加えて、さらに格上の動力性能を得られる「スポーツ+」をZ NISMO独自の機能として用意しています。

 実は、スポーツ+モードに入れた状態こそがZ NISMOの真骨頂で、エンジンのバルブタイミングが変わるほか、アクセルペダルの踏み方に対するエンジン回転数の上がり方が変わるなど、スロットル制御も変更されます。

 その結果、Z NISMOは、力強い加速とエモーショナルな回転フィールを味わえる走りへと変化。さらに、変速レスポンスが向上したトランスミッションと相まって、極上のスポーツカーへと“キャラ変”するわけです。

 はっきりいって、Zはベースモデルでもエンジンがパワフルで、音や回転フィールといった官能性もハイレベル。高回転域はもちろんのこと、2500回転ほどの低回転域からアクセルペダルをジワリと踏み込んでいった際のピックアップのよさやトルクがわき出てくる感覚は魅惑的で、全開で加速するときだけでなく、普段、高速道路で前走車を追い越すときなどの加速でも気持ちよさを実感できます。

 その味つけは「違いの分かる人向け」なのですが、Z NISMOのスポーツ+モードは、そうしたフィーリングがより高次元へと引き上げられている印象なのです。

 さらにZ NISMOは、クルマがスリップするのを防ぐ車両制御システム“VDC”にも、「トラクション」と呼ばれる専用モードが追加されています。

 トラクションモードの場合、通常の「VDCオン」の状態ほどシステムが介入して来ず、前後左右4輪のブレーキを独立してコントロールすることでアンダーステアやオーバーステアを減少させながら、多少のスリップは許容。最大限にエンジンの駆動力を路面へと伝え、ドライバーのコントロールできる幅を広げるという制御です。「オフ」状態ではないのでスピンは抑えつつ、ドライバーがクルマを積極的に操れるようにする制御、といえるでしょう。

 全面的に強化されたZ NISMOのハンドリングは、ベースモデルに比べるとソリッドな印象です。

 曲がる際の動きがシャープで、例えばベースモデル(これも十分レベルは高い)だとわずかながら揺さぶられるS字コーナーなどでも、Z NISMOは車体の動きがシャープでふらつきが抑えられていることを実感します。

 走行ラインもビタッと鋭く、サーキットなどよりハイスピード領域にマッチした味つけだと感じました。一方、快適性は、強化されたサスペンションの影響によって日常域でもベースモデルより車体が上下に揺すられる感覚。乗り心地はわずかながら悪化しています。

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