420馬力エンジンは“史上最強” 歴代モデルの頂点に立つ日産「スカイラインNISMO」はスポーツセダンのお手本! 公道での印象は?
スポーツセダンらしくバランスのいいモデル
「それにしても、ここへきてクルマのトレンドは大きく様変わりしたなぁ」
いまや日産自動車が販売する唯一のセダンとなった「スカイライン」に、1000台の限定モデルとして追加された高性能モデル「スカイラインNISMO(ニスモ)」を走らせながら、改めてそんな思いを強くしました。

かつて乗用車といえば、その主流はなんといってもセダンでした。しかし、ミニバンブームを経て、昨今はSUVが販売トップをマークするようになりました。気づけばSUVが“乗用車のど真ん中”になってしまったのです。そういう事実を踏まえれば、トヨタ「クラウン」の4モデルのうち3タイプがSUVになったという事実も、納得しないわけにはいきません。
そうした状況を反映するように、各ブランドが手がけるセダンのラインナップはどんどん縮小しています。いまや日本市場で販売されているセダンは、レクサスが「LS」、「ES」、「IS」という3車種を、マツダが「マツダ6」と「マツダ3」という2車種を展開しているものの、日産はスカイラインだけですし、ホンダは「アコード」、スバルも「WRX」だけという状況です。
トヨタは公式Webサイトを見ると6モデルをラインナップしていますが、そのうちの1台である「プリウス」は厳密にいうとセダンではなくハッチバックですし、「カムリ」も現行モデルはすでに生産を終え、次期型は日本で販売されない見込み。
このように、いまやセダンのラインナップは寂しい限りで、セダンを取り巻く環境はまさに盛者必衰といった状況なのです。
今回試乗したスカイラインNISMOは、そんな時代にあってもセダンの存在意義を色濃く感じさせてくれるモデルでした。
NISMOとは、日産自動車のモータースポーツ活動を担う部門であり、また、専用のカスタマイズを施した高性能な市販車のブランドとしても使われています。
今回フォーカスするスカイラインNISMOは、まさに後者。スカイラインの高性能グレード「400R」をベースに、さらなる性能アップを施したモデルです。
スポーティなスタイルをまとうとともに、専用のサスペンションやブレーキなどを組み合わせて高性能化。エンジンも、スカイライン史上最強の420psまでパワーアップされるなど、まさに歴代スカイラインの頂点に立つモデルといっても過言ではありません。
そもそも、ベースモデルである400Rの走りが優れているだけに、スカイラインNISMOの走りが悪いわけはありません。
レスポンスのよさと高回転域でのパワーの炸裂感を併せ持つツインターボエンジンは、アクセル全開時に驚異的な加速力を発揮。しかも、追い越し加速時などでジワリとアクセルを踏み込んだ際にはトルクが湧き出てくるような印象で、心を揺さぶる官能性を提供してくれます。まさに魅惑の心臓といっていいエンジンです。
また、スカイラインNISMOのハンドリングは、まさに“意のまま”といった印象。ドライバーがねらったとおりの走行ラインをトレースしながら曲がっていく感覚は、これぞスポーツセダンといった感覚で、運転しているだけで骨抜きにされそうなくらい、気持ちのいい走りを披露してくれるのです。
その上で好印象なのは、スポーツセダンとはいっても乗り味がスパルタン過ぎないこと。ハンドリングはシャープ過ぎないし、乗り心地だって良好。NISMOというモータースポーツ直系ブランドのモデルでありながら、意外なほど尖っていないのです。
驚異のパワーや卓越したハンドリング性能をひけらかすように前面へと押し出すのではなく、懐の深さとして隠し持っているといった印象です。
いざというときにはスポーティな走りを楽しめるものの、普段乗りの際には快適。バリバリの武闘派ではないスカイラインNISMOは、まさにスポーツセダンらしいバランスのいいモデルなのです。
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