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“デビューから7年”マツダのSUV「CX-5」はなぜ売れ続ける? 新たな個性「レトロスポーツエディション」に乗って見えた真実とは

バランスのいいパッケージングこそ「CX-5」最大の美点

 マツダを代表するSUV「CX-5」に、2023年秋、新たな個性が加わりました。クラシカルなスポーティ感という世界観を演出した特別仕様車「レトロスポーツエディション」がそれです。

セールスの勢いが衰えないマツダ「CX-5」に追加された、テラコッタ×ブラックの内装がおしゃれな特別仕様車「レトロスポーツエディション」
セールスの勢いが衰えないマツダ「CX-5」に追加された、テラコッタ×ブラックの内装がおしゃれな特別仕様車「レトロスポーツエディション」

 ベースモデルであるマツダCX-5は、セールスの勢いが衰える気配がありません。2023年の日本国内における販売台数は2万5714台。これは全乗用車の28位に相当し、マツダ車はとしてはトップの数字です。

 驚くことに、2022年にデビューした「CX-60」(2万3941台)やコンパクトカーの「マツダ2」(2万706台)、流行りのコンパクトSUVである「CX-30」(1万8016台)を上回るセールスを記録しているのです。

 現行CX-5が発売されたのは2017年2月ですから、もう7年も前のこと。普通に考えれば、いつフルモデルチェンジしてもおかしくない“新しくないモデル”です。そんなCX-5はなぜ、今なおマツダのセールスをけん引しているのでしょうか?

 売れているのは、CX-5というモデルに魅力があるからにほかなりません。

 CX-5の魅力といえば、まずボディサイズが挙げられます。全長4575mm、全幅1845mmというと、日本の道路事情には少し幅が広いように感じるかもしれません。

 しかし、大人気モデルであるトヨタ「ハリアー」は全長4740mmで全幅1855mm。CX-5はそれよりひと回り小さく、その分、街中などでも扱いやすいのです。

 同様に全長も、日産「エクストレイル」と比べて85mm短いCX-5。このように、同クラスのSUVと比べてボディサイズが小さいのがCX-5の特徴で、駐車場問題や運転のしやすさなどを考えると、日本のユーザーには物理的にも心理的にもプラスに働いているのは間違いありません。

 一方、ボディサイズが小さくてもキャビンやラゲッジスペースが狭ければ優れたパッケージングとはいえません。その点CX-5は、リアシートは足元こそハリアーより少し狭いものの、大人が十分にくつろげるだけのスペースが確保されており、逆にラゲッジスペースはハリアーよりも広く、十分な広さが用意されています。CX-5の実用性は実にハイレベルなのです。

 このように“程よくコンパクトなボディサイズ”と“十分広いキャビンやラゲッジスペースによる優れた実用性”を兼備したCX-5は、パッケージングのバランスのよさこそが最大の美点といえます。

 さらに、インテリアが上質な仕立てなのもCX-5の魅力です。

 7年前のデビュー当時、そのクラスを超えた高い質感に驚かされましたが、それは今となっても変わっていません。評価の高いハリアーのインテリアと比べても、CX-5のプレミアムな雰囲気に魅力を感じる人は多いのではないでしょうか。

 そして、最大の決定打といえるのがコストパフォーマンスの高さです。

 例えば、装備の充実したグレード「ブラックトーンエディション」の場合、10.25インチのセンターディスプレイや運転席の電動シート、運転席&助手席シートヒーター、19インチのタイヤ&アルミホイールなどを備えながら、価格(消費税込)は323万9500円から。ディーゼルターボ車でも355万8500円からというプライスタグは、車格と装備レベルを考えれば驚異的です。

 ときどき「マツダ車は高い」という人がいますが、内装の仕立てのよさや快適装備&先進安全装備の充実度などを考えれば、決してそうではないと断言できます。

 マツダの他のSUVと比べても、装備やクルマの内容を考えると弟分であるCX-30よりCX-5の方が割安に感じられます。また、兄貴分であるCX-60との比較では、ベーシックグレードこそCX-60のコストパフォーマンスのよさが光りますが、上級グレードになると断然、CX-5の方が買い得感が高く感じられます。

 ちなみにキャビンやラゲッジスペースの広さなど実用面においては、ボディサイズの大きいCX-60とCX-5は大差がありません。そう考えると、コストパフォーマンスだけでなくサイズからパッケージングまでCX-5の方が好相性という人が多いはず。より多くの人から支持を得られるキャラクターを備えているのが、CX-5なのです。

 また、これまで何度も商品改良を繰り返してきたCX-5は熟成が進んでおり、走りや乗り心地のフィーリングなどの完成度は特筆すべきレベルにまで高まっています。今後、進化していくであろうCX-60と比べても、その差は歴然です。

 何を隠そう筆者は、1年ほど前までCX-5のユーザーでした。今はCX-60に乗り換えていますが、だからこそ、優れたサイズ感やパッケージング、コストパフォーマンスのよさ、そして熟成が進んだ乗り味といった面において、CX-5のよさが痛いほど分かります。

 CX-5はなぜ今も売れ続けているのか? それはトータルバランスに優れた魅力的なモデルであるからと断言できます。

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