現代美術家が手がけたアートカー 45年前のBMW「M1」がオークションに登場 特別なスーパーカーの気になる落札価格とは
伝説的なアーティストが仕上げた唯一のM1ロードカー
ドイツ・ミュンヘンで開催されたRMサザビーズのオークションに、1979年型のBMW M1「エクスルーシブ by ウォルター・マウラー」が出展されました。普通のM1とは、どこが違うのでしょうか。

BMWの画期的なアートカーシリーズは、1975年にエルヴェ・プーラン氏によって始められました。
ル・マン24時間レースに連続参戦していたプーラン氏は、BMWのレーシングカーをキャンバスにするよう現代アーティストに呼びかけたのです。そこでアメリカ人アーティストのアレクサンダー・カルダー氏は、ドイツ人アーティストのウォルター・マウラー氏とともに、1975年のル・マンに参戦したプーランのカラフルな「3.0CSL」のデザインを担当しました。
このプロジェクトは続き、マウラー氏はフランク・ステラ氏やロイ・リヒテンシュタイン氏、エルンスト・フックス氏らの作品を含むアートカーのプロジェクトで主導的な役割を果たしましたが、1979年にアメリカ人アーティストのアンディ・ウォーホル氏が描いたM1は、一躍脚光を浴びました。
M1とは、スーパーカーファンならご存知のBMW初のミッドシップスポーツカーです。
ジウジアーロ氏率いるイタルデザインがデザインしたウエッジシェイプのボディに3.5リッターの直6エンジンをミッドシップ搭載したM1は、F1グランプリのサポートレースなどで人気を集めました。
ただし、モータースポーツ参戦車両として開発されたため、その生産台数はきわめて少なく、500台に満たないといわれています。
ちなみに、ウォーホル氏はわずか28分でM1のアートカーを描いたと言われており、このM1はプーランがマルセル・ミニョー選手とマンフレッド・ヴィンケルホック選手の運転で同年のル・マンに出場し、総合6位に入賞しました。
M1のアートカーがル・マンで注目を集める一方で、マウラー氏とBMWの関わりはカスタムペイントのデザイン依頼で続きました。これらはレース仕様のM1にも及びましたが、彼のデザインが施された市販車のM1は、ここで紹介する1台のみであったと考えられています。
ブラックのインテリアにホワイトのボディカラーのM1は、1979年9月21日にイタリアでの生産第一段階を終了し、11月9日にドイツのバウアー社によって完成されました。
生産が開始されて間もなく、このM1はマウラー氏によって「エクスクルーシブ」な仕上げが施されました。フロントリップ、サイド、リアセクションにはパールホワイトのベースコートが施され、ボンネット、エンジンカバー、ルーフには濃いグレーのエアブラシが施され、M1のシャープなプロフィールを際立たせています。
オールホワイトのホイールはブラックのディテールによって引き立てられ、右テールランプクラスターの下にはマウラー氏のサインが記されています。
このM1には、マウラー氏が最初のオーナーとこのクルマのユニークなデザインを想像したと語る手紙のコピーが添えられています。
マウラー氏による仕上げは、このM1がまだ比較的新しく、当時の走行距離が200km程度のときに行われました。
最初のオーナーは10年間このM1を所有しましたが、1989年7月には英国で登録されたようです。2009年にドイツに戻るまでの20年間、3人のオーナーがこのクルマを所有しました。
このM1は同年末にミュンヘンマスターピースコレクションに登録され、その後はほとんど使用されることなく、走行距離はわずか3万3862kmとなっています。
このM1はマッチングナンバー(シャシとエンジンはオリジナルのまま変えられていない)のエンジンを維持しており、BMWクラシックによる出生証明書が添付されています。
M1はBMWエンスージアストにとって特別なクルマですが、このマウラー氏がデザインしたクルマは、そのカスタムの魅力とBMWの有名なアートカーとの関連性において、とりわけ魅力的な1台だといえるでしょう。
1979年型 BMW M1「エクスルーシブ by ウォルター・マウラー」は、47万7500ユーロ(1ユーロ=約162円として、約7735万5000円)で落札されました。
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