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“世界で最も売れているスポーツカー”フォード「マスタング」! 60年超の歴史を誇るアメリカン・マッスルが現在も愛され続ける理由とは

若者の心をつかみ、映画やレースでも輝き続けた存在

 アメリカには「ポニーカー」という言葉があります。1960年代、戦後のベビーブーマー世代が免許を取得するタイミングで、その若者層をターゲットに生まれたクルマを指す言葉です。その代名詞がフォード「マスタング」。1964年の初代登場以来、今も世界中で愛され続けています。

フォード現行型「マスタング」
フォード現行型「マスタング」

 後にフォード社長となるリー・アイアコッカ氏が開発責任者として手がけた初代マスタングは、スポーティでスタイリッシュなデザインを持ちながらも、手の届く価格で提供されました。高級スポーツカーではなく、「安価でスポーティなスペシャリティカー」という表現がぴったりの存在だったのです。

 さらに注目すべきは、後のトヨタ初代「セリカ」にも影響を与えたフルチョイスシステムの採用です。ベースグレードは1964年当時の価格で2368ドル。当時の為替レート(1ドル=約361.99円)で換算すると、日本円で約85万7000円ほどに相当します。それでいて、V型8気筒エンジンやパワーステアリングなどを追加できる自由度があり、若者に強烈な魅力を放ちました。初代マスタングはそのまま大ヒットへつながります。

 また、モータースポーツでも存在感を示しました。シェルビーアメリカンにレース車両製作を依頼し、SCCA(全米スポーツカー協会)のBプロダクション参戦用に「シェルビー GT350」を投入。レースでの上位独占は、マスタングにスポーティなイメージを強烈に植え付けました。現代でも FIA GT3 や NASCAR で活躍を続けており、その実績はブランド価値を押し上げる重要な要素です。

 さらにマスタングは、映画という舞台でも輝きを放ちました。1968年の『ブリット』で俳優スティーブ・マックイーンが駆ったマスタングは今も伝説的ですが、その後も『60セカンズ』『ジョン・ウィック』『ニード・フォー・スピード』『ワイルド・スピード』シリーズなど数々の作品に登場し、時代を超えて観客を魅了し続け、クルマ好き以外の人々にも強烈な印象を残しました。

 もちろん、すべての時代が順風満帆だったわけではありません。1970年代には排出ガス規制によりパワーダウンが避けられず、1974年のフルモデルチェンジ時には象徴的なV型8気筒エンジンが姿を消したこともありました。それでもフォードはマスタングを作り続け、歴史を絶やすことなく進化を積み重ねてきました。

 現行モデルも、求めやすい直列4気筒やV型6気筒を設定しつつ、V型8気筒や特別な高性能グレードで“走りの魂”をしっかりと受け継いでいます。この広がりこそが、初代から続くDNAとも言えるでしょう。また、カスタムベースとして人気が根強い点も見逃せません。

 変わらぬコンセプト、モータースポーツでの実績、映画でのスター性、そして幅広いニーズに応える柔軟さ。これらすべてが重なり、60年を超えた今もなおマスタングは愛され続けているのです。

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