“最強のND型「ロードスター」”どうやって200馬力をクリアした?「12R」のチューニング手法はレースマシンへと還元!? マツダ“こだわりの技術”とは
「MSRロードスター 12R」が200psを達成できた経緯とは
現行のND型「ロードスター」のスペシャルモデルとして誕生した「マツダ スピリットレーシング・ロードスター」。2モデルが用意される中で、200台限定となる「マツダ スピリットレーシング・ロードスター 12R」は、各部に専用チューニングが施されたハイパフォーマンス仕様です。
なかでもエンジンは、最高出力200psとリッター当たり100psをクリア。自然吸気エンジンとしてはなかなかのハイスペックを実現しています。しかし、このハイパワーを実現するために、開発陣は多大な苦労を味わったようです。

マツダスピリットレーシング(以下、MSR)は、モータースポーツ活動を展開するマツダのサブブランド。先ごろ発表された「MSRロードスター」は、そのブランド名を初めて冠した市販モデルです。
MSRは国内レースの「スーパー耐久」シリーズに参戦していますが、そのマシンづくりに携わったエンジニアが「MSRロードスター」の開発も担当。レースシーンで培った技術やノウハウを市販車へと惜しみなく投入しています。
「MSRロードスター」のパワーユニットには、日本向けND型「ロードスター」のソフトトップモデルでは初となる、2リッターエンジンが搭載されています。
2200台限定となるスタンダードな「MSRロードスター」(車両重量は1070kg)は、最高出力184ps/7000rpm、最大トルク205Nm/4000rpmを発生。
一方、200台限定となる高性能な「MSRロードスター 12R」(車両重量1050kg)は、社内測定値ながら最高出力200ps/7200rpm、最大トルク215Nm/4700rpmをマークします。
高性能な「MSRロードスター 12R」のエンジンは、吸気ポートの形状変更と研磨、専用のカムシャフトやカム、さらに、中低速を意識した4-2-1仕様から高回転域でのパワーを重視した4-1仕様へと変更されたエキゾーストマニホールドなど、スペシャルなチューニングが施されています。
そのエンジンチューニングの基本は、「スーパー耐久」シリーズのST-Qクラスに参戦しているMSRのマシン「12号車」にあります。ちなみに「MSRロードスター 12R」の車名にある“12”とは、このマシンのカーナンバーに由来しています。
マツダは今回の限定車を開発するに当たり、当初、「12号車」の“S耐スペック”エンジンを投入すれば簡単に200psを達成できると考えていたようです。実際、2024年シーズンを戦った「12号車」は210ps程度を発生。そこにサイレンサーなどを装着するといった保安適合対策を施しても、200psはクリアできると踏んでいたようです。
しかし、この方法で組み上げたエンジンの最高出力は193ps程度にとどまったのだといいます。そのためそこから、自動車メーカーが手がける市販車ならではの品質と安全性、そして耐久性を保ちながら、約7psのエクストラパワーを獲得するというマツダ開発陣の挑戦がスタートしたのです。
7psのエクストラパワーを得るために、2024年の“S耐スペック”から変更した中でもキモとなったのが、カムシャフト(吸気側と排気側の双方)と吸気口の形状だったといいます。
なかでも吸気口は、エアクリーナーから吸気の取入口までの空気のとおり道を5~10%(場所によって異なる)太くし、吸気効率をより高める変更がおこなわれています。
こうしたエンジニアたちの苦労の末に、「MSRロードスター 12R」のエンジンは社内測定値ながら200psを実現したのです。
●「12R」の開発で培った技術が今度はレースマシンの「12号車」へ
興味深いのは、公道を走れる「MSRロードスター 12R」の開発で得たノウハウが、「スーパー耐久」に参戦している「12号車」へとすでにフィードバックされていることです。
カムシャフトと吸気口の変更などは今季の「12号車」に導入済み。この2025年スペックのエンジンは前年のそれに比べて、約10psアップとなる220psを達成しているそうです。
モータースポーツで培った技術とノウハウが導入されている「MSRロードスター 12R」ですが、その開発で得たノウハウがレースマシンに還元されているという事実を踏まえると、この限定車がいかにモータースポーツと強く結びついているモデルであるかがうかがえます。
レーシングカー直系のエンジンを堪能できるスペシャルモデル……それが「MSRロードスター 12R」なのです。
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