マツダ“初代「ロードスター」レストアプログラム”の現在地とは? 物価高騰やパーツ不足にどう対応? “クラシックマツダ”の未来を探る【Behind the Product#35】
物価高騰や再生産できないパーツの出現にどう対応?
マツダが展開する、古いマツダ車のサポートサービス“クラシックマツダ”。その根幹となるのが、初代であるNA型「ユーノス ロードスター」のレストアサービスです。2017年にサービス開始を発表して以来、これまで7年間で17台がレストアを受けてきたレストアサービスを支える“人材”と“現場”を取材しました。
1989年に誕生した初代「ロードスター」は大ヒットを記録し、オープンスポーツカーの世界的なムーブメントを醸成。「ロードスター」自体もこれまで4世代のモデルが世に送り出され、2016年4月には累計生産台数が100万台を突破しました。
そして、初代モデル誕生から28年を迎えた2017年、マツダが取り組みを開始したのが初代NA型「ロードスター」のレストア事業です。
発表当時でも、スタンダードプランは250万円〜、フルメニューで500万円弱と高額だったにも関わらず希望者が殺到。現在までに17台がレストアされ、新車同様の姿となったNA型が、再び日本の街を走っています。
そんなレストアの実務を担っているのが、福祉車両などの特装車を手がけるマツダの系列会社・マツダE&T。ベース車の分解、部品交換、エンジンのオーバーホール、ボディの全塗装、規定内の小規模な板金修理、組み立て作業といった工程のすべてを同社が請け負っています。
これほど多岐にわたる作業を請け負うためには、担当する人材も必要。そうしたプロをそろえられるのは、マツダの新型車や特装車の開発や製造を手がける同社だからこそといえます。

マツダE&Tの特装車製造現場の一部を使っておこなわれているレストア事業は、現在、初代「ロードスター」の中でも初期のモデルである“NA6C”型の一部仕様に限って実施されています。
オーナーカーがベースであることに加えて、必要な新品パーツの確保や1年間に手がけられる台数が極めて少ないことなどがその理由です。
ちなみに、レストアサービスの施工内容および新品交換部品に対しては、1年1万kmという保証がつけられています。発売より36年が経過した車両にこれだけの保証が与えられるのは驚異的です。
そうしたことから、レストアを受けられるベース車には、サビや修復歴がないことなど厳格なルールが定められています。希望者すべての「ロードスター」がサービスを受けられるわけではないのです。それでも、今も予約待ちの列があるといいますから、初代「ロードスター」のレストアに対するニーズの高さがうかがえます。
“クラシックマツダ”を担当する伏見亮さんは、レストアに必要な部品の復刻なども手がける主要メンバーのひとり。レストアサービスを希望する車両の状態確認のため、日本全国を飛び回っているといいます。
「“クラシックマツダ”のサービスを始めることができたのは、元々マツダがニーズの高いパーツを経過年数にとらわれることなく継続して供給してきた背景があります。
“クラシックマツダ”がスタートした2017年当時、NA型は走る・曲がる・止まるに関するパーツや、事故などのアクシデントで破損が起きやすい外装部品に関して、多くのものが入手可能だったのです。またNA型は、2代目であるNB型のパーツを一部流用できたことも大きいですね。
それでも欠品パーツが生じた場合、供給元であるメーカーさんに相談し、復刻をおこなってきました。しかし2022年頃から、クルマの電動化や環境対応の強化といった影響による事業転換や方針の見直しで一部パーツの継続生産が困難になったり、製造機の老朽化や金型の経年劣化で部品自体を製造できなくなったりといった課題も増えてきました」
そうした厳しい現状に直面しているため、現在のレストアメニューでは、以前はパーツ交換で対応していた部品も入手が困難な場合は修理対応とし、再利用しているものがあるといいます。
さらに、近年の物価高は“クラシックマツダ”を直撃。値上がりした材料や部品代を加えると、サービス開始時と比べてレストアメニューの価格は1.5倍にまで上昇しているといいます。
そうした状況を踏まえ、できる限り希望者のサービス受付を早められるよう、作業台数の拡大に動いているそうです。

実はこうしたアクションの原動力となっているのが、話題の「マツダスピリット レーシング ロードスター12R」の存在。マツダE&Tはこのモデルの製造に携わっていますが、「12R」向けに確保していたスペースの一部を“クラシックマツダ”用に充てることを検討しているといいます。
これにより、作業スペースは現在の1.5倍程度に拡大する見込みといいますから、今よりもレストア作業の効率はアップすることでしょう。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
いま必要なポタ電は“ちょうどよさ”にあり! Jackeryの最新型ポタ電「1500 New」を写真家はどう使った?【PR】