ポルシェ×東京大学が地方で“本物を体験する時間”を提供する理由とは?「LEARN with Porsche」の“裏番組”に対する人々の反応は?【Behind the Product#34】
子どもも大人も驚き、学ぶ――現場で広がる感動と発見とは
このように、「サマープログラム」では開催地の人々に頼るだけでなく、現地の人々への還元にも力を入れている「LEARN with Porsche」。
とはいえ、実体験の価値を教育に生かしたり、記憶に残したりするのは「ちょっとした仕掛けも必要」と中邑さんと黒岩さんは話します。
「体験を提供するに当たって、ちょっとしたサプライズを重視しています。知床ウトロ学校でおこなった電気自動車の授業では、実際にポルシェを持ち込んだことは学校関係者以外には最後まで知らせていませんでした。また演奏会のことも、一部の関係者以外には伝えていません。
授業の最後に『では、実物を見てみようよ』というと、子どもたちは皆『えっ!?』という顔をします。そうしたサプライズや実体験からの感動は、必ず記憶に残ることでしょう。また、プログラムに帯同いただいている土井先生も、ご協力いただく農家さんや漁師さんにとっては驚きの対象になっていますね」(中邑さん)
一方の黒岩さんは、こうした仕掛けを含め、現地の人々やプログラム参加者の反応を見て感じることが多いといいます。
「最新のラインナップから2台のポルシェを現地に持って行くことは簡単なことではありませんが、皆さんが感動の声を挙げておられる姿を目の当たりにすると、毎回『開催して本当によかったな』と思います。
クルマにせよ音楽にせよ、決して子ども向けの内容ではなく、本質や本物に触れる機会を提供しているわけですが、それが逆に、子どもはもちろん、先生方や大人の皆さんにも楽しんでいただける要因になっているのだろうと感じています。
その後の数日間、学校や家庭で話題のタネになっているのかな、と思うと、うれしいですよね」

ちなみに、2025年の「サマープログラム」開催地には、ポルシェの最新モデルである「タイカン ターボGT」と「911 カレラ4 GTS カブリオレ」の2台が持ち込まれました。しかし、カタログなどの用意はありませんでした。
黒岩さんいわく、ポルシェジャパンは日本に根差す企業として、持続可能な社会の実現に貢献することを重視しているとのこと。つまり、ポルシェでなければできないプログラムであることを追求しつつも、CSR活動とセールスは完全に分離されているのです。
そして、「LEARN with Porsche」のような社会活動プログラムや地域交流は、企業市民として果たすべき責任の一環だと黒岩さんは話します。
●人のつながりが未来をつくる――「LEARN with Porsche」の挑戦は続く
こうして5年目の「LEARN with Porsche」も無事に終了。中学生や高校生、学校での認知度も高まりつつある同プログラムですが、キーパーソンのおふたりは今後について、どのような展開を思い描いているのでしょう?
まずは中邑さんが、本筋である「LEARN with Porsche」と“裏番組”と位置づける地域交流のこれからについて、思いを語ってくれました。
「年を重ねるにつれてアレもコレもと詰め込みたくなり、今年はプログラムの内容が非常に濃密になってしまいました。正直、『時間が足りない!』と感じましたね。
本筋のプログラムに参加する中高生は“いい子”が多いのですが、多様性に欠けると感じています。毎年、テーマを定め、旅という実体験を通じて学びや発見の場を提供していますが、その先生となるのは、歴史や文化など僕らが知らないことを知っている地域の皆さんなのです。
つまり、世の中すべての人が先生なんですよ。なので今後も、参加者をいろんなところへ連れていきたいと考えています。
また、そうした人と同様に、クルマは“いい教材”だと感じています。本物に接することは地域の子どもたちやプログラム参加者の常識を解放し、想像力を刺激する原動力になると思います。大人や地元の人々との交流を図る“橋渡し役”としても欠かせない存在ですね」

一方、今年はタイトな日程ではあったものの、新たな発見が多かったと黒岩さんは続けます。
「今年は参加者たちと食事をともにするとか、同じクルマで移動するといった機会が多く、そこで彼らの反応を直接感じたり、どのような将来像を抱いているのかを存分に聞いたりすることができました。
こうしたプログラムの実現には、実はドイツのポルシェ本社やその先のフォルクスワーゲングループ本社の承認を得なければならず、ハードルは決して低くありませんでした。しかし、私たちも学ぶことが多かったですし、運営側として楽しませてもらいました」
LEARNチームが提案するテーマや内容に毎回驚かされるものの、同時に、毎年プログラムを通じての地域交流を楽しんでいるという黒岩さんは、「LEARN with Porsche」の未来について、その思いを次のように語ります。
「若者の未来形成、将来の日本を担う人材の意欲や創造性を育むというポルシェジャパンCSR活動の原点を思えば、継続することにこそ価値があると思っています」
* * *
ポルシェジャパンと東大先端研LEARNはなぜ、地方の人々に“本物の価値”の体験を提供し続けるのか? その答えをひと言でまとめるのは簡単ではありません。
しかしその背景には、本物だからこそ心を揺さぶる体験や感動を提供できる、ポルシェでなければ実現しえない価値があることは間違いないでしょう。
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