ポルシェ×東京大学が地方で“本物を体験する時間”を提供する理由とは?「LEARN with Porsche」の“裏番組”に対する人々の反応は?【Behind the Product#34】
“本物の体験”から学ぶ教育の新たなカタチ
世界的なスポーツカーブランド・ポルシェのインポーター(総輸入元)であるポルシェジャパンは、東京大学先端研「個別最適な学び」寄付研究部門(以下、東大先端研)とパートナーシップを締結。2021年から「LEARN with Porsche」というスカラーシッププログラムを展開しています。
2025年も夏の期間に開催された同プログラムの期間中には、キーパーソンが“裏番組”と呼ぶユニークな取り組みが並行しておこなわれていました。地方の人々に「本物を体験する時間」を提供する、その活動に迫ります。
「LEARN」は、東大先端研「個別最適な学び」寄付研究部門のシニアリサーチフェローである中邑賢龍さん、特任助教の赤松裕美さんと研究室のメンバーが運営するユニークなスカラーシッププログラムです。
その名称は、Learn Enthusiastically(熱心に学び)、Actively(積極的に)、Realistically and Naturally(現実的かつ自然に)の頭文字に由来しています。
そんな「LEARN」の活動に対して、“若者の夢の実現”をCSR活動の柱のひとつに掲げるポルシェジャパンが共感。パートナーシップを組んだことで「LEARN with Porsche」がスタートしました。
「LEARN with Porsche」は毎年夏、中高生を対象に「ものづくりプログラム」と「サマープログラム」というイノベーティブな経験を提供。若者たちの“夢をかなえるサポート”に取り組んでいます。

なかでも、1年目に北海道・帯広、2年目に四国・愛媛、高知、3年目に北海道・利尻島と礼文島、4年目に熊本・天草地域と日本中を巡ってきた「サマープログラム」は、参加者たちが旅をしながら現地の人々と触れ合い、実体験を通じて文化や歴史を学ぶ内容となっています。
「サマープログラム」には、LEARNチームのメンバーだけでなく、料理研究家の土井善晴さんやポルシェジャパン広報部長の黒岩真治さんも全日程に同行。参加者たちと同じ体験をし、時間を共有する中でサポートやアドバイスをおこなっています。
そんな「サマープログラム」では、3年目から本体の活動と並行して、関係者が“裏番組”と呼ぶユニークな試みもおこなわれています。それが、開催地域の人々や子どもたちを対象とした“本物を体験してもらうカリキュラム”です。
2025年の「サマープログラム」では、北海道・知床にある小中併設の斜里町立知床ウトロ学校で、中学生を対象に電気自動車の授業と最新のポルシェの体験試乗会を開催。
また、北見藤高等学校では土井さんと中邑さんの講演会を開催したほか、常呂高等学校の体育館では「サマープログラム」に協力してくれた農家や漁港、そして、地元の人々を対象に、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターである近藤薫さんらによる演奏会をおこなうなど、地域の人々との濃密な交流が図られました。
ではなぜ、「LEARN with Porsche」の「サマープログラム」では、こうした取り組みをおこなうようになったのでしょうか? 中邑さんはそのきっかけを次のように話します。
「『サマープログラム』は当初から2台のポルシェを現地へと運び、参加者たちにその魅力を体験してもらっていました。でも、せっかく一流のスポーツカーであるポルシェを現地まで持っていくのですから、地域の大人も子どももみんなでワクワク楽しめる方がいいのでは? と考えたのです。現地での授業や講演、そして他のプログラムも、実は『みんなが喜ぶならやってみようよ』という自然な流れで開催しているだけなんです」
2025年の「サマープログラム」でも各会場にポルシェの最新電気自動車である「タイカン」とポルシェの本流たるスポーツカーである「911」を展示。気軽に見て、触れて、シートに座ることができたほか、同乗試乗会なども開催され、大人も子どもも皆、興味津々の様子でした。
●既成概念を打破して新たな喜びや楽しみ、気づきを提供
一方、ポルシェジャパンは、こうした派生プログラムをどのように捉えているのでしょう? 黒岩さんが続けます。
「私たちは、CSR活動の三本柱に“サステナビリティ”と“地域支援”、そして“若者のサポート”を掲げています。そのため、LEARNチームからプログラム開催地の地域の人々との交流をご提案いただいたことに、とても感謝しています。
LEARNチームの皆さんの実行力には、感服のひと言です。地域の教育委員会や学校へわざわざ足を運ばれて、プログラムの趣旨をご説明され、事前に理解を得られているのです。単なる思いつきでは実現できないことばかりだと感じています」
黒岩さんが指摘するように、LEARNチームは「サマープログラム」の舞台を選定するに当たって、事前に現地を訪れて地元の人々と交流を図り、直接、交渉をおこなっているのだとか。
また、電気自動車に関する講義は、舞台となった学校の技術・家庭科の授業に組み込まれるなど、地域の教育委員会や学校の協力も仰いでいるのです。
「都市部とは異なり、日本にはポルシェや演奏会などに簡単に触れることができない地域があります。現地の子どもはもちろんのこと、大人も目を輝かせてポルシェを見たり、演奏を楽しんでいたりする様子は印象深いですし、実物や本物に触れてもらうことは教育面でも大きな意義があります。

一方、本筋である『サマープログラム』の参加者は皆、都会育ちの子どもたち。『音楽はコンサートホールで静かに聴くもの』という固定概念に縛られています。でも、自然の中で聴く音楽というのは圧倒的で気持ちがいいもの。そういう喜びや楽しみ、新たな気づきも教えてあげたいのです」(中邑さん)
つまり、「LEARN with Porsche」が提供する「本物を体験する時間」は単なる“裏番組”ではなく、プログラム参加者が地域の人々と交流を図るためにも活用されているのです。[i]27_20251225_LEARN.jpg,「LEARN with Porsche」の「サマープログラム」では、訪れた地域の人々に「本物を体験する時間」を提供するユニークな活動を展開
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