スペックに現れない進化がヤバい! アルファ ロメオのコンパクトSUV新型「トナーレ」に乗って分かった“SUVらしからぬ走り”の正体
スペック据え置きでも0.3秒速い新型の“隠れた進化”
そんな進化した「トナーレ」で走り出してみると、印象はさらによくなりました。
新型のパワートレインは、従来の「トナーレ ハイブリッド」に相当するマイルドハイブリッド(以下、MHEV)のみに。またネーミングも、「ジュニア」と同様、「トナーレ イブリダ」と呼ばれるようになっています。
MHEVシステムは、旧フィアット・パワートレイン・テクノロジー製の“ファイアフライ”系エンジンをベースに新開発された、可変ジオメトリーターボつきの1.5リッター直列4気筒に、48VのP2モーターを内蔵した7速デュアルクラッチ式トランスミッションの組み合わせ。カタチの上では従来からのキャリーオーバーで、エンジンは最高出力160ps/5750rpm、最大トルク240Nm/1700rpm、モーターは20psと55Nm、システム最高出力175psといったスペックも全く変わりはありません。
ところが新型「トナーレ」は、間違いなく速くなっていました。加速の鋭さも、速度の伸びも、力強さも、運転していて体感できるくらいに増しています。1.5リッターのMHEVですから、途方もなく速いというわけじゃないのですが、気持ちがスッと昂揚するくらいには速いし、不満がないくらいにスピードも伸びるし、「トナーレ」の本来の持ち味だった走りの爽快さも2段階ぐらい跳ね上がってる感じなのです。走っていると思わずニヤニヤしちゃうくらい楽しくて、気持ちがいいのです。数字そのものは従来どおりで変わらず、なのですが……。

これって、どういうことなのか? 先日「トナーレ インテンサ」に試乗したときにも全く同じ疑問を感じました。調べても何も分からずに苦悩した、という顛末です。実は2025年の仕様変更の時点でパワートレインにも手が加えられてたようなのですが、今回の新型お披露目のとき、その謎が解けました。アルファ ロメオのインポーターであるステランティスジャパンの担当者が本国に熱心にかけ合って、ざっくりではありますが改良ポイントを聞き出してくれたのです。
可変バルブの可変タイミングの変更。トランスミッションの変速タイミングの調整。モーターが介入するタイミングなどハイブリッド系のコントロール改良などが、おこなわれていたのだとか。ということは、当然ながら各種制御系にも手が入ってる、というわけですね。
その結果、新型「トナーレ」の0-100km/h加速タイムは、8.8秒から8.5秒へと0.3秒も速くなっています。パワーの出方やトルクの出方といった特性にも変化があるわけですから、体験的な違いは数値以上です。筆者は従来型「トナーレ」に散々試乗していたので、そりゃ体感できるでしょ、というお話です。
そして、数多あるSUVの中で断トツというレベルにあるシャープなハンドリングは、当然ながら健在でした。
新型「トナーレ」のシャシーまわりに関しては、前後のトレッドがそれぞれ左右4mmずつ、つまり前後とも8mmずつ拡大されていることがアナウンスされています。アクティブサスペンションのキャリブレーションがおこなわれたかどうかは不明ですが、人知れず改良の手を加え続けるアルファ ロメオのことですから、トレッド拡大に合わせて微妙なリセッティングをしてるかもしれません。
いずれにせよ、クルマが曲がる方向に姿勢を変え始めてから、えぐり込むように旋回していく性格はほぼそのままながら、フロントタイヤがなぞるラインはよりドライバーの操作に対して忠実に、同時に、横方向のふんばりがさらに強く効いて、安定性も高まったように感じられます。
こう書くと、マイルドになったのか? と思われるかもしれませんが、鋭さと安定性がこれまで以上に高いレベルで巧みにバランスされるようになった、と考えればいいでしょう。ドラマティックで鮮やかな曲がりっぷりも、そのときの強烈な刺激も、変わりはありません。SUVのくせしてワインディングロードがめっぽう楽しい、ということも。
上級モデルの「ステルヴィオ」も、エントリーモデルの「ジュニア」も素晴らしくスポーティで楽しいSUVだと感じてますが、僕は「トナーレ」こそが当代随一のハンドリング系SUVであり、最もライトウェイトスポーツカーに近い感覚で走れるSUVだと思っています。
この辺り、数値には全く現れていないのですが、新型はそうした感覚が大幅に増幅されています。今回の進化における最大のキモは、魅力を増したルックスよりも、むしろこっちじゃないか? なんて感じてるほどなのです。
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価格(消費税込)は、受注生産のエントリーグレードである「トナーレ イブリダ スプリント」が599万円、上級グレードの「トナーレ イブリダ ヴェローチェ」が653万円となっています。
アルファ ロメオはフェイスリフトにおいても妥協をしないというか、愚直なまでに手を抜かないというか、細かくチェックをするとだいぶコストをかけて「トナーレ」を育ててきたように感じます。そう考えたら、これはバリューフォーマネーを超えた価格設定だな、と思えて仕方がありません。
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