スペックに現れない進化がヤバい! アルファ ロメオのコンパクトSUV新型「トナーレ」に乗って分かった“SUVらしからぬ走り”の正体
戦前のレースカーに通じる“盾”を宿したフロントマスク
SUVらしからぬ鋭いハンドリングが持ち味のアルファ ロメオ「トナーレ」がマイナーチェンジ。先ごろ日本に上陸しました。現行型「トナーレ」がイタリア本国で発表されたのは2022年2月ですから、およそ4年ぶりの大型刷新といっていいでしょう。
そんな新型「トナーレ」の主な変更点を紹介しつつ、走らせてみての印象をお伝えしていきましょう。
新型「トナーレ」の最も大きな変更点は、アルファ ロメオ好きならパッと見で違いが分かるフェイスリフトです。
片側3眼のキリッとしたヘッドライトの構造に変わりはありませんが、その中央にあるスクデット=盾が、アルファ ロメオのスペシャルモデル中のスペシャルモデルであった「33ストラダーレ」と同様の、センターが美しく凹んだ立体的な形状となりました。
そのスクデットと合わせて、トライローブ=3つ葉飾りを形づくる下側左右のグリル内にあるエアインテークが拡大されました。これは主として、エンジンの冷却効率向上と整流効果を高めて風切り音を低減させるための改良です。
下側左右の、グリル両端に備わるフロントホイールハウスへつながるスリットも拡大。ホイールハウスの中に溜まってイタズラをする空気をより効率よく排出し、フロントのリフトを防ぎます。それに伴い、バンパー全体の形状も変わり、端へ行くに従って角度を増す、さらに立体的な造形になりました。
もうひとつ絶対に無視できないのは、スクデットの両脇にアゾーレ=ボタン穴というニックネームを持つスリットが2本ずつ刻まれたことです。

歴史的に最も近いところでは、2021年発表の「ジュリアGTA/GTAm」、もう少し前では、1997年デビューの「156」の前期型、そして深くたどっていけば、第2次世界大戦前の「6C」シリーズや「8C」シリーズといったモデルに採用されていた意匠。まだスクデットがスクデットでなかったというか、今のような逆三角形に定まるより以前の時代から、アルファ ロメオのコンペティションモデルや高性能モデルに採用されてたものです。
当時はコンピュータも何もなく、穴を開ければ空気がとおったり抜けたりするだろうとばかりにエンジンの放熱のために設えられたという、とてもアナログな考え方によるスリットでした。
もちろん現在でも、放熱効果や整流効果はあることでしょうが、今となってはむしろアルファ ロメオ自身の歴史へのオマージュ、先人たちへのリスペクトから来るデザインアクセントとしての意味合いが強いのではないかと思います。
そのほか新型は、「33ストラダーレ」用をモチーフにしながら手を加えた、大胆なデザインのホイールもかなり目立ちます。
こうして出来上がった新型「トナーレ」のスタイリング、僕(嶋田智之)はとてもカッコいいと思うのです。「トナーレ」は初期の頃からずっと美形で印象的な存在ではあったのですが、新たなアレンジが加えられたことで、さらに彫刻的な雰囲気を漂わせるようになりました。
僕個人は、“アルファのデザインはどのモデルも初期型こそがベスト”という原理主義的なところがあるのですが、「トナーレ」に関しては別で、今この瞬間は新型のスタイリングにより惹かれています。まぁ何年か経ったら“どことなく哲学的な表情に思える初期型がいいよね”なんていってるかもしれませんが、ちょっと時間が経つとまたしてもグッと魅力的に感じられるのもアルファ ロメオのデザイン。その辺りは時の流れに任せるしかないのでしょうけれど。
ドアを開けて新型「トナーレ」のシートに座ってみると、インテリアも細々した部分が変わっていることに気づきます。
初期モデルとの決定的な違いは、レバー式だったシフトセレクターがロータリー式になってること。実はこれ、2025年秋の仕様変更時に切り替わっていたようで、先日、限定車である「トナーレ インテンサ」で初めて体験しました。ブラインド操作がしやすく、シフトセレクターの前方に配される走行モード切り換えダイヤルと合わせ、指先の動きひとつでOKというのも美点です。
そして、手動で変速操作を楽しみたいときには、絶妙の操作感と触感を誇るアルファ ロメオ謹製のアルミ削り出しシフトパドルを弾いていくわけですが、マニュアルモードで走りたいときは、右側のパドルを長引きすれば切り換え完了。操作性を考えれば、この仕様は大正解だと思います。
そのほか、コックピット中央に備わるタッチ式スクリーンの反応がよくなりワンタッチでシートヒーターなどをONにできるようになったこと、スマホ用のワイヤレスチャージャーが冷風でスマホを冷却できるよう改められたこと、Bluetoothを経由してのApple CarPlayがつながりやすくなったことなど、細かいといえば細かい部分ですがかゆいところにしっかり手が届く変更がいろいろおこなわれてるのもありがたいところです。
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