VAGUE(ヴァーグ)

64年前の“美しすぎるクーペ”を英国で発見 生産台数わずか185台 アストン黄金期を体現できる貴重な英国スポーツカーとは

予想落札価格は約6500万円から7500万円

 2026年7月8日に開催されるRMサザビーズの「ザ・ウッドコート・パーク・オークション」に、1962年式アストンマーティン「DB4 シリーズIV」が出品されます。

 アストンマーティンの黄金期を築き上げた傑作「DB4」のなかでも、生産数がわずか185台にとどまる後期型の「シリーズIV」は、コレクターの間で極めて高い人気を誇るモデルです。

 カロッツェリア・ツーリングによる有名な超軽量車体構造「スーパーレジェンガ」の svelte(しなやか)なプロポーションを維持しながら、のちのDB5へと繋がるフラットなボンネットスクープや格子状のフロントグリルを採用した、新旧の美点が融合する過渡期のマスターピースとして知られています。

 今回出品されるシャシ番号「DB4/913/R」は、そのバックボーンからして非常に特別です。

オークションに出品予定の1962年式アストンマーティン「DB4 シリーズIV」Simon Clay(c)2026 Courtesy of RM Sotheby's
オークションに出品予定の1962年式アストンマーティン「DB4 シリーズIV」Simon Clay(c)2026 Courtesy of RM Sotheby's

 1962年12月に新車としてデリバリーされた最初のオーナーは、1980年からミレニアムの節目まで「アストンマーティン・オーナーズ・クラブ(AMOC)」の会長を務めたことで知られる、ジョン・ドーネイ閣下(第11代ダウン子爵)その人でした。

 工場出荷時のビルドシートによると、本来は右ハンドル仕様で、ボディは「サンド&ブラック」、内装は「レッド・コノリーレザー」というシックな装いでした。

 さらに、当時ニューポート・パグネルの工場でファクトリーオプションとして設定されていた高出力版の「スペシャル・シリーズ(ヴァンテージ)」エンジンが奢られ、オーバードライブ、限定スリップデフ、さらには高性能モデル「DB4GT」と同型のインストルメントパネルが組み込まれた一級品のスペックを誇っていました。

 ドーネイ閣下の手元を離れたのは1973年。その直前までの記録では約11年間で1万9962マイルを走破しており、その間に元の3.7リッターから4リッターへと直列6気筒エンジンが換装された歴史が、付属する当時の古いログブックにも刻まれています。

 その後、複数のイギリス人オーナーを経て、2013年時点ではクリーム色のボディとなっていたこの個体は、2016年に現在のオーナーへと引き継がれました。

 かつて「DB4GT」を所有していたという現オーナーは、さらなる圧倒的なパフォーマンスと欧州大陸の道を快適にグランドツーリングできる実用性を求め、アストンマーティンの名門スペシャリストである「RSウィリアムズ(RS Williams)」へと車両を預けます。ここで、当時の購入金額77万5000ポンド(修復費用込み)にふさわしい、細部まで徹底的なフルレストアが敢行されました。

 このモディファイによって、エクステリアは深みのあるオリーブグリーン、内装は上品なクリームカラーの極上ハイドへと美しく生まれ変わりました。

 同時に、ヨーロッパ遠征を想定して「左ハンドル仕様」へとコンバートされ、エンジンはRSウィリアムズの手によって、驚異的なトルクを誇る「4.7リッター」へとボアアップ(排気量拡大)が施されています。

 ビルドシートのコピーや歴代の歴史ファイル、そして整備証明書など完璧に揃うこの1台は、アストンマーティンの血統と、現代のトップスペシャリストによる高度なアップデートが見事に調和した芸術品です。

 想定落札価格は32万ポンドから37万ポンド(日本円で約6500万円から7500万円前後)と発表されています。

Gallery 【画像】超カッコいい! 1962年式アストンマーティン「DB4 シリーズIV」を見る(23枚)
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