“きょうを、だいじに。”から読み解く、象印マホービン「炎舞炊き」と「EVERINO」が大事にしている本当の価値
「炎舞炊き」は、炊き立て至上主義の先にある現実を見ている
毎日炊き立てのごはんを囲み、手づくりのおかずをそろえる。そんな理想通りにいかないのが現実の暮らしです。夜に炊いたごはんを翌朝のお弁当に使う日もあれば、家族の帰宅が遅く、食事時間がずれる夜もある。疲れて料理をする気力が残っていない日もあるでしょう。
「炎舞炊き」と「EVERINO」は、今期ともに大幅な刷新ではありません。それでも、炎舞炊きは炊き立てのおいしさだけでなく、時間が経ったごはんをどうおいしく食べるかという“保温”の価値をあらためて気づかせてくれました。
一方のEVERINOは、一品調理をより手軽にする「うきレジ」の用途を広げています。
新しさで驚かせるのではなく、今日のごはんを少しでもおいしく、少しでもラクにする。まずは、炊き立ての先にある日常を見つめた「炎舞炊き」から、その価値を読み解いていきます。

象印の炊飯ジャー「炎舞炊き」は、同社の高級炊飯ジャーを代表するシリーズです。複数の底IHヒーターを制御し、釜の中でお米を舞い上げるように炊く。
単に強い火力で加熱するだけでなく、部分的な集中加熱によって複雑な対流を生み出し、米一粒一粒に熱を伝えていく。名前の通り、炎が舞うようにお米を炊き上げる発想が、このシリーズの根幹にあります。

炊飯器としての価値は、まず炊き上がりのおいしさにあります。これは言うまでもありません。おいしいごはんがあるだけで、食卓の満足度は大きく変わります。
味噌汁と漬物、納豆、焼き魚、卵。決して豪華なおかずでなくても、ごはんがおいしいだけで「家で食べてよかった」と思える。日本の食卓において、主食の力はそれほど大きい。
ただ今回、展示会で改めて面白いと感じたのは、炊き立てのおいしさだけではありませんでした。むしろ、炊いた後のごはんをどう保つか。つまり保温です。
保温という機能は、炊飯器の中では地味に見えます。大火力や内釜の素材、炊き分け機能に比べれば、ニュースになりにくい。けれど生活者目線で考えると、保温ほど現実の食卓に密着した機能もありません。

ごはんは炊き立てが一番おいしい。それは正しい。けれど、すべての家庭が毎回、炊き立てだけを食べられるわけではありません。
夜に炊いたごはんを翌朝のお弁当に使う。家族の帰宅時間がずれて、遅い時間に食べる人がいる。子どもが部活や塾から帰ってきて、ひとりで夕食をとる。そういう日常は、どこの家庭にもあります。
最近は、炊いたごはんはすぐ冷凍するのがいい、と言われることも増えました。確かに、炊き立てを小分けにして冷凍すれば、おいしさを保ちやすい。
けれど、それを毎回できるかというと、現実はそう簡単ではありません。冷ます、包む、保存する、翌朝また温める。些細な手間ですが、毎日のことになると負担になります。
だからこそ、保温の質を高めることには意味があります。

炎舞炊きが見ているのは、炊き立てだけを食べる理想の食卓ではありません。炊いてから時間が経っても、できるだけおいしく食べたいという現実です。
黄ばみやにおい、ベチャつきを抑え、食べるタイミングがずれても食卓の満足度を落としにくくする。これは、単なる保存機能ではなく、今日の食卓を崩さないための技術です。
展示会では、炊飯器の内部構造やセンサー制御についても説明を受けました。温度を検知しながら保温を制御するだけでなく、蓋の開閉回数を検知し、ごはんがどれくらい減っているか、庫内環境がどう変化しているかを推定していく。

つまり炊飯器は、ただごはんを温め続けているのではありません。食卓で実際にどう使われているかを見ながら、ごはんの状態を保とうとしているのです。
これは、非常に象印らしい知性だと思います。
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