なぜ発売前から日産 新型「エルグランド」は話題を呼んでいるのか? 歴代モデルを振り返ると見えてくる“注目を集める”理由
話題になっているのは新型だからではなく「エルグランド」だから?
先述したように、初代「エルグランド」は高級ミニバンという新たな市場を切り開き、2代目は“キング・オブ・ミニバン”と呼ばれる存在になりました。ではなぜ、約16年間もフルモデルチェンジがおこなわれなかったにもかかわらず、新型の登場がこれほど大きな話題になっているのでしょう? その理由は、新型への期待だけでは説明できません。
多くの人が反応している原動力は、「『エルグランド』が帰ってくる」という事実そのものだからです。
クルマには、車名がブランドになるモデルがあります。例えば日産では、「スカイライン」や「フェアレディZ」がそうであるように、「エルグランド」もまた単なる車名ではなく、ひとつのブランドとして認識されてきました。
だからこそ、新型「エルグランド」という言葉だけで、多くの人が過去の記憶や体験と重ね合わせることができます。かつて乗っていた人、憧れていた人、家族が所有していた人、ライバル車との比較を楽しんできた人……そうした記憶の積み重ねが、「次はどんなモデルになるのだろう?」という期待につながっているのでしょう。
もうひとつ興味深いのは、“空白の時間”が逆にブランド価値を高めた可能性があることです。
現行のE52型は2010年に誕生して以来、改良を続けながら販売が続けられてきました。しかし、フルモデルチェンジはおこなわれず、高級ミニバン市場でアルヴェルの後塵を拝してきました。普通に考えれば、これだけ長い間、モデルチェンジがおこなわれないモデルは、人々から忘れられても不思議ではありません。

ところが「エルグランド」は違うようです。「次はいつ出るのか?」、「今度こそフルモデルチェンジするらしい」……そんな話題が繰り返し取り上げられ、そのたびに注目を集めてきました。
もちろん、それは日産が、意図的に話題づくりをしてきたという意味ではありません。むしろ、長い空白期間があったからこそ、待ち続けるに値するブランドという特別な存在になったとも考えられます。
一般的に新型車は、新しくなったから注目されるものです。でも新型「エルグランド」は、長く待ち続けられてきたからこそ注目されている……ここに、他の新型車とは少し異なる構図があります。
●「復活して欲しい」というファンの感情がブランドを支えた
新型「エルグランド」に寄せられる期待には、スペックや装備だけでは測れない感情的な要素があります。「もう一度、高級ミニバン市場で存在感を示してほしい」、「『エルグランド』らしい走りを取り戻してほしい」……そうした声は、歴代オーナーだけではなくクルマ好きの間からも聞こえてきます。
これは、高級ミニバン市場がアルヴェルの一強状態になったことで、“もうひとつの選択肢”を待ち望む人が少なくないことも影響しているのでしょう。
日産も新型「エルグランド」をただのプレミアムミニバンではなく“プレミアムグランドツーリングミニバン”と位置づけ、第3世代“e-POWER”や進化した“e-4ORCE”など、最新の技術を惜しみなく投入しています。
つまり新型「エルグランド」は、過去の名車を復活させたのではなく、「エルグランド」というブランドを現代の技術で再構築しようとしているのです。
そして、今回の盛り上がりを見ていると、「エルグランド」はもちろんのこと、日産自動車自体にもう一度、元気になってほしいという期待が感じられます。
日産は今、経営改革や商品戦略の見直しを進め、グローバルで続々と新型車を市場投入しています。
その中で、「エルグランド」はフラッグシップミニバンとして復活し、進化した第3世代“e-POWER”を採用するモデルとして位置づけられています。
そうした状況を見ると、新型「エルグランド」への期待は、単に1車種に向けられたものではなく、「これからの日産は面白くなるのではないか?」といった期待も同時に背負っているようです。だからこそ、発売前からここまで注目を集めているのでしょう。
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