次世代の電気スポーツカーがグッドウッドで世界初公開 F1ドライバーが魅せた 伝統の軽量思想をEVで体現するアルピーヌ新型「A110フューチャー」の全貌とは
BWTアルピーヌF1チームのピエール・ガスリー選手がドライブ
仏アルピーヌは2026年7月9日、英国で開催中のクルマの祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の初日にて、次世代スポーツカーの開発車両「A110 フューチャー(A110 FUTURE)」を世界初公開し、ダイナミックな一般公開デモランを行いました。
記念すべき最初の走行では、BWTアルピーヌF1チームのピエール・ガスリー選手がステアリングを握り、助手席にフェスティバルの創設者であるリッチモンド公爵を乗せて名物のヒルクライムコースを激走。この歴史的な瞬間に合わせ、アルピーヌは第3世代となる未来のA110の基礎を担う、次世代の電気自動車(EV)用アーキテクチャ「アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム(APP)」の詳細を明らかにしました。
デモランを終えたガスリー選手は、「グッドウッドの丘でA110 フューチャーを走らせ、アルピーヌの未来を誰よりも早く体験できたことは本当に素晴らしい経験でした。熱狂的なファンの前でお披露目できたことはブランドにとって特別な機会です。アルピーヌは、電気スポーツカーであっても、より軽く、よりシャープに、そして心から運転を楽しめる存在になれることを証明し続けています」と熱く語り、未来への期待感を表明しました。

今回のグッドウッドにおいて、アルピーヌは過去最大のブースを展開しており、この開発車両だけでなく、往年のル・マン24時間レース覇者「A442B」やF1マシンのデモランなども交え、ブランドの輝かしいモータースポーツの血統とEVへ向かう未来を融合させた一大パフォーマンスを披露しました。
今回登場したA110 フューチャーは、単なるコンセプトカーではなく、市販化に向けた第一歩として開発された実験車両です。
目指しているのは、現在の内燃機関スポーツカーを凌駕するパフォーマンスを発揮しながらも、アルピーヌのDNAである軽快さと俊敏性を完璧に維持した「世界初の真の電気スポーツカー」だといいます。
その中核となる新型モジュラープラットフォーム「APP」は、単一のプラットフォームでありながら、様々なボディスタイルや駆動レイアウトに対応できる柔軟性を持っています。
今回プレビューされた2シータークーペ仕様では、バッテリーパックをフロントとリアに分割して配置するユニークな構造を採用しました。この重量配分の工夫により、現行のエンジン版A110と同等の極めて低い全高とドライビングポジションを維持し、乗員の居住空間を犠牲にしない理想的なパッケージングを実現しています。
この800Vの超高電圧バッテリーシステムは、エネルギーの25%をフロント、75%をリアに配分する設定となっており、高圧ダイカストアルミニウム製のケーシングに直接セルを組み込む「セル・トゥ・パック」技術を採用することで、車体全体の構造剛性アップにも大きく貢献しています。
さらに、リアに2基のモーターを配した電動パワートレインには、最新の「アクティブ・トルク・ベクタリング 2.0」や「ホイールスリップ・トルクコントロール」を統合。最高2万1500回転まで回る高回転型の永久磁石同期モーターとシリコンカーバイドインバーターを組み合わせることで、各車輪を瞬時かつ緻密に独立制御し、コーナリング進入時のアンダーステアを劇的に低減します。
こうした驚異的な開発スピードの背景には、先進のシミュレーション技術の存在があります。ア
ルピーヌが誇るドライビングシミュレーター「DiM250」は、実車のコクピットと9mの巨大スクリーン、そして緻密なシャシ挙動を再現するモーション技術を組み合わせ、実車テストを行う前に4万5000km以上におよぶ走行データを蓄積し、開発の効率化とコスト削減を達成しました。
1955年の創設以来、コンパクト・軽量・俊敏という一貫した哲学でファンを魅了してきたアルピーヌは、ホットハッチのA290やスポーツファストバックのA390といった100%電動の「ドリームガレージ」を展開しつつ、このA110 フューチャーによって、次なる時代のスポーツカーの聖杯を手に入れようとしています。
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