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楽天市場のAI活用で「家電選び」はどう変わる? 楽天の「ROOM」家電公式インフルエンサーが読み解く“相談して買う”ECの未来

“探す家電”から“相談して出会う家電”へ

 楽天市場のAI活用でもうひとつ注目したいのが、ディスカバリーレコメンデーションだ。

 これは、ユーザーの興味関心に合わせて商品やコンテンツとの出会いを生み出す仕組みである。楽天市場側は、ショッピングモールを歩いているときの体験になぞらえて説明していた。

 高間氏はこう語る。

「大型ショッピングモールを歩いていると、進むたびにいろいろな店舗や商品が目に入ってきます。最初から買うつもりがなかったものでも、そこで新しい出会いが生まれることがあります。楽天市場でも、AIを活用して、お客様の興味関心に合わせた新しい商品や店舗との出会いを提供していきたいと考えています」

ディスカバリーレコメンデーションは、AIによってパーソナライズされたSNS感覚の買い物体験を提供する。目的買いだけでなく、興味関心に近い商品との偶然の出会いを促す仕組みだ
ディスカバリーレコメンデーションは、AIによってパーソナライズされたSNS感覚の買い物体験を提供する。目的買いだけでなく、興味関心に近い商品との偶然の出会いを促す仕組みだ

 家電でも、この“発見”は意外に大切だ。

 たとえば、最初は空気清浄機を探していた人が、部屋干し対策として除湿機に出会う。掃除機を探していた人が、ロボット掃除機や水拭き対応モデルに興味を持つ。炊飯器を探していた人が、電気圧力鍋やオーブンレンジを使った時短調理に気づく。

 家電の買い物は、目的買いだけではない。暮らしの困りごとから、思わぬジャンルの商品にたどり着くことがある。

 AIによるディスカバリーは、その偶然をオンライン上で再現する試みともいえる。

展示端末では、スマートフォン上に商品やコンテンツが並ぶフィード型の体験も紹介された。家電でも、掃除機からロボット掃除機へ、空気清浄機から除湿機へといった新しい気づきにつながる可能性がある
展示端末では、スマートフォン上に商品やコンテンツが並ぶフィード型の体験も紹介された。家電でも、掃除機からロボット掃除機へ、空気清浄機から除湿機へといった新しい気づきにつながる可能性がある

出店店舗向けAIは、家電販売の裏側を変える

 楽天市場のAI活用は、ユーザー向けだけではない。出店店舗向けにも「Rakuten AI for RMS」として、店舗運営を支援するAI機能が提供されている。

 説明したのは、楽天グループ コマース&マーケティングテクノロジー統括部 ジェネラルマネージャーの山川祐介氏だ。

楽天グループ コマース&マーケティングテクノロジー統括部 ジェネラルマネージャーの山川祐介氏。店舗運営システム「RMS」におけるAI機能の活用について説明した
楽天グループ コマース&マーケティングテクノロジー統括部 ジェネラルマネージャーの山川祐介氏。店舗運営システム「RMS」におけるAI機能の活用について説明した

「RMSは、楽天市場に出店いただいている店舗様の業務全般をサポートするシステムです。その中に、商品説明文の作成支援、商品画像の背景加工、問い合わせへの回答支援、レビュー返信支援、RMSの使い方を案内するAIチャットなどを組み込んでいます。現在では、出店店舗様の約半数が何らかの形でAI機能を活用しています」

Rakuten AI for RMSの利用拡大を示したスライド。商品説明文作成、画像加工、問い合わせ回答、レビュー返信など、店舗運営の幅広い業務にAI機能が組み込まれている
Rakuten AI for RMSの利用拡大を示したスライド。商品説明文作成、画像加工、問い合わせ回答、レビュー返信など、店舗運営の幅広い業務にAI機能が組み込まれている

 家電店舗にとって、商品説明文の作成は大きな負担だ。

 型番、サイズ、重量、消費電力、適用畳数、付属品、保証、設置条件、旧モデルとの違い。書くべき情報が多いうえに、間違いは許されない。特に家電は、仕様の誤記が購入後のトラブルにつながりやすい。

 山川氏は、AIの位置づけについてこう話す。

「AIですべてを置き換えるというより、店舗様の業務の一部を支援する形で活用しています。商品登録や問い合わせ対応など、時間のかかる作業を効率化し、その分、店舗様が商品をより魅力的に伝えるコンテンツづくりや、付加価値の高い仕事に時間を使えるようにしていきたいと考えています」

店舗向けAIは、単なる時短ツールにとどまらず、分析、立案、実行を支える提案型パートナーへ進化することが示された。家電店舗でも、商品説明や設置ノウハウの整理に活用できる余地がある
店舗向けAIは、単なる時短ツールにとどまらず、分析、立案、実行を支える提案型パートナーへ進化することが示された。家電店舗でも、商品説明や設置ノウハウの整理に活用できる余地がある

 これは家電ECでも同じだ。

 AIに商品説明を丸投げするのではなく、下書きや整理を任せる。店舗はそこに、自分たちならではの選び方、注意点、設置ノウハウ、使用シーンの提案を加える。そこまでできて初めて、AIは売上を伸ばす武器になる。

問い合わせ対応の速さは、家電の購入率に直結する

 説明会では、出店店舗の活用事例として、プチギフトmomo-fukuを運営する株式会社百福 専務の木澤典子氏も登壇した。

 ギフト専門店の事例ではあるが、家電販売にも通じる示唆が多かった。

 木澤氏は、問い合わせ対応の変化について次のように話す。

プチギフトmomo-fukuを運営する株式会社百福 専務の木澤典子氏。少人数で店舗運営を行う立場から、AIによる問い合わせ対応や商品登録業務の変化について語った
プチギフトmomo-fukuを運営する株式会社百福 専務の木澤典子氏。少人数で店舗運営を行う立場から、AIによる問い合わせ対応や商品登録業務の変化について語った

「私たちは夫婦2人と少人数のスタッフで運営している小規模な店舗です。ギフトショップなので、地方ごとの熨斗のお作法や配送について、お客様から多くのお問い合わせをいただきます。

 以前は1件ずつ調べて返信していたので、1件あたり10分ほどかかっていました。AIを活用することで、今では1分から3分ほどに短縮できています。月間で見ると、対応時間は約67時間から約20時間まで削減できました」

プチギフトmomo-fukuの問い合わせ回答作成支援AIの活用事例。資料では、問い合わせ対応時間の削減により、返信の早さやレビュー評価の向上につながったことが示された
プチギフトmomo-fukuの問い合わせ回答作成支援AIの活用事例。資料では、問い合わせ対応時間の削減により、返信の早さやレビュー評価の向上につながったことが示された

 家電店舗でも問い合わせは多い。

「この冷蔵庫は右開きか」「マンションに搬入できるか」「掃除機のバッテリーは交換できるか」「フィルターは水洗いできるか」「メーカー保証と店舗保証はどう違うのか」。こうした質問に早く、正確に答えられるかどうかは、購入率に直結する。

 木澤氏は、AIによる問い合わせへの返信支援がスタッフの安心感にもつながっていると語る。

「敬語やマナーで失礼があってはいけないと悩むスタッフも多かったのですが、AIが下書きを作ってくれることで、悩む時間が減りました。専門知識が必要な場面でも、必要な情報を引き出してくれるので、安心して返信できています。返信が早くなることで、お客様からも“すぐに返信が来た”“安心して買い物ができた”というレビューをいただけるようになりました」

楽天側の担当者と出店店舗によるトークセッション。AIによる効率化は、単なる作業時間の削減だけでなく、スタッフが安心して顧客対応に向き合うための支えにもなる
楽天側の担当者と出店店舗によるトークセッション。AIによる効率化は、単なる作業時間の削減だけでなく、スタッフが安心して顧客対応に向き合うための支えにもなる

 高額な家電ほど、購入前の不安は大きい。問い合わせの返信が早く、丁寧であることは、そのまま店舗への信頼になる。

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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