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楽天市場のAI活用で「家電選び」はどう変わる? 楽天の「ROOM」家電公式インフルエンサーが読み解く“相談して買う”ECの未来

家電ECで大切なのは“映える画像”より“正しい画像”

 商品画像加工支援AIについても、家電販売に置き換えると重要なポイントがある。

 AI画像加工では、背景をきれいにしたり、商品を魅力的に見せたりできる。しかし、ECにおいては、商品そのものが変わって見えてはいけない。

 木澤氏は、一般的なAI画像加工ツールを使った際の課題をこう話した。

「他のAIツールでは、商品のラベルが微妙に変わってしまったり、縦横比が変わってしまったりすることがありました。ハンカチタオルの画像を加工したときには、水玉の数が増えたり、ストライプの幅が変わったりしたこともあります。見栄えのする画像にはなるのですが、商品を売るという点では困る部分がありました」

商品画像加工支援AIの活用事例。ECでは見栄えだけでなく、実物と違わないことが重要になる。家電でも、色味や操作部、付属品の見え方を正確に保つことが信頼につながる
商品画像加工支援AIの活用事例。ECでは見栄えだけでなく、実物と違わないことが重要になる。家電でも、色味や操作部、付属品の見え方を正確に保つことが信頼につながる

 この話は、家電にもそのまま当てはまる。

 操作パネルの形が違う。ボタンの位置が違う。色味が実物より大きく変わる。付属品の見え方が違う。家電では、こうしたズレが購入後の不満につながる。

 木澤氏は、楽天のAI画像加工支援についてこう評価する。

「楽天さんのAIツールは、現物の特徴を正確に把握してくれます。商品自体の画像が変わってしまうことがないので、安心して利用できています」

 家電は、リビングやキッチンに置かれるインテリアの一部でもある。見た目の印象は大切だ。だが、それ以上に大切なのは、実物と違わないことだ。

 AI時代の家電ECでは、「魅力的に見せる力」と「正しく伝える力」の両立がますます重要になる。

AIで家電店舗の個性は消えるのか

 AI活用が広がれば、どの店舗も似たような説明文になってしまうのではないか。これは避けて通れない問いだ。

 家電店舗の価値は、価格だけではない。メーカーごとの違い、旧モデルと新モデルの差、設置時の注意点、生活シーンに合わせた提案。そうした専門性こそが、店舗の個性になる。

 質疑応答でも、店舗が長年蓄積してきた専門知識がAIに取り込まれ、店舗独自の強みが薄れるのではないかという質問が出た。

 高間氏は、情報の扱いについてこう答えている。

「店舗様オリジナルの情報や、店舗様が出したくない情報は当然あると思います。そこは何でもAIに渡せばいいという話ではありません。一般的な選び方や世の中のトレンドとして共有できるものと、店舗様独自の知見として守るべきものは、切り分けて設計していきたいと考えています」

楽天市場を「個性豊かな店舗さんの集合体」と示したスライド。AI活用が広がるほど、定型作業の効率化と店舗ごとの専門性・個性の両立が重要になる
楽天市場を「個性豊かな店舗さんの集合体」と示したスライド。AI活用が広がるほど、定型作業の効率化と店舗ごとの専門性・個性の両立が重要になる

 家電店舗にとって、この切り分けは非常に重要だ。

 AIが平均的な説明文を作るだけなら、店舗の個性は弱くなる。だが、AIによって定型的な作業が軽くなり、店舗が独自の比較記事、設置ガイド、使い方提案、買い替え診断のような情報発信に時間を使えるなら、むしろ個性は強くなる。

 AIは、店舗の代わりにすべてを語る存在ではない。店舗の知見を、ユーザーに伝わりやすくするための編集アシスタントのような存在であるべきだ。

家電選びは「相談して買う」時代へ

 楽天市場のAI活用を家電の視点から見ると、最大の変化は、買い物の入口が変わることにある。

 これまでのECでは、ユーザーが検索ワードを考え、商品一覧を見て、レビューを読み、価格やポイントを比べ、自分で判断してきた。それも買い物の楽しさではある。だが、家電のように情報量が多く、失敗したくない商品では、その負担が大きすぎることもある。

 AIコンシェルジュが進化すれば、ユーザーは「何を買うか」ではなく、「どんな暮らしにしたいか」から家電を探せるようになる。

 部屋干しのストレスを減らしたい。掃除の負担を軽くしたい。朝の時間を少し楽にしたい。寝室の空気を快適にしたい。高齢の親に使いやすい家電を贈りたい。

 そうした生活の悩みから、AIが選び方を整理し、候補を提案し、比較を手伝う。そこに楽天市場ならではの豊富なレビュー、ポイント、出店店舗の専門性が重なれば、家電の買い物体験は大きく変わる。

会場では、AIコンシェルジュやディスカバリーレコメンデーションの体験展示が複数用意された。家電ECでも、検索、比較、相談、発見をつなぐ新しい買い物導線が広がっていきそうだ
会場では、AIコンシェルジュやディスカバリーレコメンデーションの体験展示が複数用意された。家電ECでも、検索、比較、相談、発見をつなぐ新しい買い物導線が広がっていきそうだ

 楽天市場のAI活用は、単なる便利機能ではない。家電のように、生活との相性が大切な商品においてこそ、本来の力を発揮する可能性がある。

 AIが選ぶ楽しさを奪うのではなく、選ぶための不安や面倒を減らし、より納得して買えるようにする。ROOMの家電公式インフルエンサーとして見ても、楽天市場のAI活用は、これからの家電ECを考えるうえで重要な転換点になりそうだ。

Gallery 【画像】「楽天市場」におけるAI活用のスゴみを写真で見る(30枚以上)
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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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