なぜ三菱自動車の「スターキャンプ」は35年も続いているのか? メーカーとユーザーが育てる“唯一無二のイベント”の舞台裏【Behind the Product#41】
三菱自動車にとってのアウトドアとは何か?
「スターキャンプ」の歴史を振り返ると、そのルーツは1990年代初頭のRVブームまでさかのぼることができます。当時の三菱自動車は、「パジェロ」や「RVR」など、アウトドアと親和性の高いクルマづくりを進めていました。
「当時の資料を見ても、“クルマで出かけた先を楽しむ”という考え方がありました。クルマとアウトドアをいっしょに楽しむことを大切にしたいという思いが、『スターキャンプ』の原点なんです」(竹内さん)
当時はまだ、現在のような“高規格キャンプ場”は少なく、イベントを開催するたびに仮設トイレを設置し、会場を整備するところから始めていたといいます。
「クルマがないと行けない場所があります。そして三菱車には、他社よりもう一歩奥まで行ける性能があると思っています。その先にある自然や体験を楽しんでいただきたいんです」(竹内さん)
この言葉を聞いて、取材中に体験したオフロード試乗を思い出しました。「デリカD:5」や「トライトン」は確かに優れた走破性を有しています。でも印象に残ったのは、難所をクリアすることよりも、その先にある自然や景色を楽しむための道具だということでした。
「三菱車に乗るとこういった生活ができるんだ、こういう遊び方ができるんだ…そんな憧れを持っていただけたら、うれしいですね」(竹内さん)
「スターキャンプ」には、明文化された“ルールブック”のようなものはないといいます。それでも竹内さんは“「スターキャンプ」らしさ”は確実に存在すると話します。

「家族で楽しめること、子どもが楽しめること、もちろんベテランキャンパーも満足できること。そういう空気感は大事にしています」(竹内さん)
夜に開催されるライブも、そうした考え方から生まれています。派手な演出ではなく、キャンプの夜に寄り添うアコースティックライブ。ナイトバブルショーやスポーツ体験なども含め、自然の中で過ごす時間を邪魔しないコンテンツづくりを意識しているといいます。
「これは『スターキャンプ』っぽくないよね、という感覚は、長年関わっているスタッフの中に自然とあるんです」(竹内さん)
実際、会場を歩いていても、過度な演出やにぎやかさは感じませんでした。主役はあくまでキャンプと自然。その考え方がイベント全体を貫いているのです。
●変わる時代の中でも変わらないもの
近年は気候変動の影響もあり、イベント運営は以前より難しくなっています。「スターキャンプ」もかつては夏に開催されるイベントでしたが、その後、9月開催へと変更になり、そして現在は5月開催へと移行しています。
「2025年は開催直前の台風で、事前に設営していたテントが壊れてしまったんです」(竹内さん)
雨は対応できても、強風は難しいのがキャンプ。せっかく準備したイベントを中止にするリスクを避けるための判断だったといいます。
そして迎えた2026年。開催日には青空が広がり、富士山も裾野までくっきりと見えていました。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】
