「昔はセダンばかりだったのに…」なぜ今は街中がSUVだらけ? 軽・コンパクトから高級車まで SUV全盛時代になったワケとは
「クロスオーバーSUV」の登場で「SUV全盛の時代」が幕を開けた
ただ、ライトトラックをベースとしたSUVは、乗り心地や燃費性能が商用車に近いものであったことから、セダンの牙城を崩すにはいたりませんでした。
しかし、1990年代に入ると、トヨタ「RAV4」や「ハリアー」、あるいはメルセデス・ベンツ「ML」やBMW「X5」のような、乗用車をベースとしたSUVが続々と誕生します。
「クロスオーバーSUV」と呼ばれるこれらのモデルは、本格派のオフローダーのようなたくましいスタイリングを持ちながらも、セダンと同等以上の居住空間や乗り心地を兼ね備えていることが大きな特徴でした。
これらの多くは、ライトトラックベースのSUVに対する不満を抱えたアメリカのユーザーがメインターゲットでしたが、日本や欧州のユーザーからも高く評価され、徐々にそのシェアを増やしていくこととなりました。

一方、特にプレミアムブランドのクロスオーバーSUVのなかには、ポルシェ「カイエン」のように、経済成長が著しい新興国でも「未舗装路でも乗れる高級車」として高い評価を得ることに成功したものもありました。
実際、サスペンションのストロークを長くとれるクロスオーバーSUVは、未舗装路における乗り心地の面で従来のセダンよりも有利です。
たとえば、2000年代以降に急激な経済成長を遂げた中国では、プレミアムブランドの顧客となりうる富裕層が短期間のあいだに数多く誕生したものの、道路インフラの整備がそれに追いついていませんでした。
その結果、いわゆる「スーパーカー」を購入する資産は持っていながらも、それを実用することができないという状況が発生していました。
プレミアムブランドやラグジュアリーブランドによる超高級SUVのなかには、そうした新興国向けの富裕層をメインターゲットにしたものも少なくありません。
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このように、これほどまでにSUVが浸透した理由は、先進国と新興国、あるいは中間層と富裕層という、一見すると相反するニーズをひとつのボディタイプで満たすことができるという「懐の深さ」にあると考えられます。
もちろん、SUVというボディタイプにデメリットがないわけではありませんが、そのほとんどは技術の進歩により解消されています。
あらゆるユーザーをカバーできるという点において、現代のSUVは「クルマの基本型」と言ってよいのかもしれません。
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