東京〜日光450km ボルボ新型「EX90」で行くクルマ旅! いろは坂から金精峠へ 7人乗り電動SUVが移動そのものを“上質な時間”に変える
650kmの航続距離と680馬力の強心臓! 7人乗り電動フラッグシップの実力
ボルボが「電気自動車の7シーター フラッグシップSUV」とうたう新型「EX90」の国内初試乗ということで提案されたのは、東京・港区の「ボルボスタジオ青山」を出発して東北自動車道で日光に向かい、関越自動車道で戻ってくるというルートでした。
寄り道しないでも400kmを超えるロングドライブですから、いかにボルボがその航続距離に自信を持っているかということでしょう。実際に「EX90」は全グレード、一充電走行距離650kmというロングレンジを誇ります。さて、一体どんな旅になるのでしょうか。
日本国内では初試乗となった「EX90」ですが、実は私(島下泰久)にとっては今回が2度目のドライブでした。最初に対面したのは2024年9月にアメリカで開催された国際試乗会でのことで、つまり2年近くぶりの再会となったのでした。
そもそも「EX90」がグローバルに発表されたのは、さらにさかのぼる2022年のことでした。つまり「EX30」よりも前のことだったのですが、最初の試乗までですら結構な時間を要したのは、ボルボが“Hugin Core”と呼ぶセントラルコンピューティングシステムを初めて投入するモデルということで、開発に想定外の時間を要したからでした。
その上で、さらに2年近くを要してのようやく日本導入となったのですが、実はこの間にもクルマはアップデート作業が続けられていたようで、そのハードウェアは初試乗の際とは大きく異なるものになっていました。
「EX90」は、その車名から想像できるどおり「XC90」と同じラージクラスのBEV(電気自動車)となります。実際、BEV専用プラットフォームの“SPA2”は「XC90」などに使われる“SPA”の発展型といってよく、全長こそ5035mmと5mの大台を超えていますが、ホイールベースや3列シートを備える室内の広さは、2台ともほぼ同等です。

試乗車は最高峰モデルである「EX90 ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」。フロントに最高出力299ps(220kW)、リアに同381ps(280kW)の電気モーターを搭載して、システム最高出力680ps(500kW)を発生します。650kmのロングレンジを実現するバッテリーは容量106kWhです。
実は、この電気モーターは自社製ということで、アメリカで乗ったときと違っていますし、電装系も400Vから800Vへと進化しています。中身は小改良ではなく、本当に全くの別物といっていいほど変化しているのです。
一方、内外装に変更はありませんが、この堂々たるプロポーション、そして最新のボルボに共通するライトグラフィックなどを採り入れたデザインは、とても強い存在感を放っています。特に、起動とともに瞼(まぶた)が開くように中の発光部が現れるヘッドライトは、先進モノ好きにはたまらないものではないでしょうか。
ソフトクローズドアを開けて入る室内は、全体に水平基調のすっきりとした仕立てとされた上で、センターに14.5インチの縦型モニターをセット。シンプル、クリーン、洗練という言葉が似合う雰囲気です。
スイッチ数も減らされていて、ステアリングとそれに連動してチルトするメーター、ミラーなどの位置調整も、操作は画面上でおこないます。最初は煩雑に思えますが、一度設定すれば次からはちゃんと記憶しておいてくれます。
2列目シートは3席独立してのスライド、リクライニングが可能。今回は3名乗車だったので、スライドを前に出して余裕の空間をつくり出すことができました。
そして3列目シートはふたり乗り。成人男性には足元が狭い印象ですが、短時間なら十分に使用可能です。バックレストには電動格納機構が備わり、荷室を拡大したいときにはスイッチひとつで前倒しすることができます。2列目シートまですべてフラットにした際の荷室容量は1316リットルです。
●2.7トン超なのに“路面に吸いつく”!? 高速道路で驚いた乗り心地と静けさ
内外装をひととおりチェックしたら、いよいよ発進。第一印象では、22インチのタイヤがさすがに足元を重たげに感じさせたのですが、流れに乗ってくるとそれも気にならなくなり、むしろ美点の方が際立ってきました。

一番はなんといっても、そのフラットな乗り心地。106kWhものバッテリーを積むだけに車重は2.7トン超にも達しますが、重心が低くその前後配分が良好で、しかもシャシーにはデュアルチャンバータイプのエアサスペンションをおごっているおかげで、速度を上げていっても姿勢は落ち着いたまま、というか上げるほどに路面に吸いついていくかのようなのです。
静粛性にも目を見張りました。BEVだからといって自動的に静かになるわけではなく、かえって別の音が目立ってしまうということはありがちですが、「EX90」の室内に居ると風切り音やロードノイズ、電気モーターやインバーターの発する音などもことごとく耳には届きません。
サイドウインドウまで全面ラミネートガラスにするなど遮音、制振が徹底されていますが、この静けさには空力の貢献度も小さくないようです。サイドウインドウとドアの段差の小ささ、フラッシュタイプのドアハンドルの採用等々、細部に至る配慮によって騒音を源流から打ち消しているわけです。
その走りっぷりにもうならされました。東北自動車道には120km/h制限区間もありハイペースで走行できたのですが、このときに抱いたのはとにかく安心感が高く、どこまででも走って行けそうという感覚でした。
ステアリングフィールだけはやや薄めと思ったのですが、通常時はほぼリア駆動で走っているとのことで、ドライブモードを「Performance」に切り替え、フロントの駆動力も使ってやると解決。良好な手応えが出てきます。できればAWD制御だけ任意に切り替えられれば、もっといいのですが。
東北自動車道を宇都宮ICで降りて、日光宇都宮道路へ。木々に囲まれながらゆっくり流す道のなんと気持ちのいいことでしょうか! ここまで150kmほど走ってきましたが、疲れは皆無。そのまま第二いろは坂に入ります。
道幅は決して広くはなく、しかも急カーブが連続する道ですが、「EX90」は想像以上に意のままになる素直な走りで、持て余すことがありません。やはり重量バランスがよく、走行ラインが膨らんでいかないのがいいのでしょう。
アクセル操作に対して即座にトルクをもたらすパワートレインの躾(しつけ)も上々。いろは坂を抜けたら、いよいよ中禅寺湖は目の前です。手前で左折して県道へ。少し行った先の左手にある「ZEN RESORT NIKKO」に入ります。
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