アルファ ロメオ「ジュリアTI」の「キレ味」冴えるツインカムに感動【旧車試乗】
アルファ ロメオの名作「ジュリア」の始祖
近年では日本国内でも盛り上がりの傾向を見せている、クラシックカーによるラリー競技は、すでにヨーロッパのエンスージアストの間では人気のジャンルとなっている。
以前VAGUEでもご紹介した「レギュラリティ・ラン」型ラリーではなく、スピードと耐久性を競うモータースポーツとしての「クラシックカー・ラリー」に参加するマシンたちは、往年のオリジナルに安全と速さを担保するための技術が加えられ、今なお独自の進化を続けているようだ。
今回のVAGUEにおいて、クラシック/ヤングタイマーのテストドライブ企画第3弾として試乗したのは、そんな現代のクラシック・ラリーカーである。ベースとなったのは、セダン派のクラシックカー愛好家、あるいはイタリア車エンスージアストに大人気のモデル、アルファ ロメオ「ジュリア ベルリーナ」である。
●アルファ ロメオ製“ベルリーナ”の哲学を確立した傑作車とは?
アルファ ロメオの名作として知られ、現代にも偉大な名跡が継承されている「ジュリア(Giulia)」。そのファーストモデルである「ジュリアTI」ベルリーナ(セダン)は1962年6月27日、同社の故郷ミラノの近郊にあり、ホームコースとも称されるモンツァ・サーキットにおいて、世界初公開された。
デビューした当初は、アルファ ロメオ社の運命を変える大ヒット作となった前任モデル「ジュリエッタ(Giulietta)」の上級モデルとして規定され、当初は併売もおこなわれていた。それは「ジュリエッタの姉」を示すネーミングにも示唆されていたのだが、その実像はやはりジュリエッタ・ベルリーナの後継車である。
昔ながらのアルマイト弁当箱のように武骨なスタイリングから、とくにわが国では「醜いジュリア」なる酷いニックネームで呼ばれたりもしたが、実は本格的なエアロダイナミクスが導入された世界最初のサルーンの1台であることは有名な事実である。
現在でこそ、自動車デザインにおける必須条件となっている風洞実験がおこなわれたことも、ジュリアが開発された1960年代初頭では、まだまだ珍しいことだった。
この4ドアセダンボディに組み合わされるエンジンは、ジュリエッタ用の水冷4気筒1290ccツインカムを1570cc・92psまでスケールアップしたもの。ジュリア用としては新たに5速トランスミッション、4輪ディスクブレーキ(最初期モデルを除く)など、ジュリエッタ以上に贅沢な装備が盛り込まれていた。
1964年には、廉価バージョンとして1.3リッター・82psエンジンを搭載する「1300TI」が追加。翌1965年には、高性能・豪華版となる「ジュリア・スーパー」が登場する。
1570ccのジュリア系アルファ・ツインカムは、スーパーでは2基のウェーバーキャブレターを組み合わせて98psまでパワーアップ。最高速もジュリアTIより5km/hアップとなる170km/hに達するとされていた。
いずれのジュリアも、当時のファミリーサルーンの常識からすれば、充分以上に優秀といえるスペック。この高性能を生かして、イタリアではパトロールカーとしても大活躍した。加えてオリジナル版『ミニミニ大作戦(1969年・英)』や『フェラーリの鷹(1976年・伊)』など、当時のイタリアを舞台としたカーアクション映画では、いわゆる「負けキャラ」パトカーとして、貴重なバイプレイヤーとしての役割も果たしていることもまた、ジュリアについては忘れてはならないエピソードといえよう。
それだけに、1960年代における世界最上級のスポーツセダンであったジュリアTIをベースに、現代のモータースポーツ技術が練り込まれた今回の試乗車両との邂逅を、取材の地である群馬・伊香保への道中から、とても楽しみにしていたのである。
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