【発見】「カウンタック」の後継「ディアブロ」に採用されるはずだった!? ガンディーニが描いた「チゼタ」の初期デザインとは
ディアブロとチゼタを結ぶ、ミッシングリンク?
この7月7日から21日までの二週間にわたり「Get Your Classic」のオンライン限定オークションに出品されたのは、のちにチゼタV16Tとなるクルマの開発初期段階で製作されたと目される、1/1フルスケールのモックアップ。
外観と内装のごく一部のみが表現され、エンジンはもちろん、シャシも持たないことから「プロトタイプ(試作車)」と呼ばれる段階以前の原寸大模型である。
チゼタは総生産台数にして、わずか10台前後に終わってしまった小規模コンストラクター。しかも、ほとんどの業務は故ザンポッリ氏の独力によっておこなわれていたゆえに、V16Tが正式発表に至る以前のドキュメントや検証のための資料は、残念ながら極めて乏しいのが実情とされている。
しかしこのチゼタの1/1スケールモデルは、現在ではサンタアガタ・ボロネーゼのアウトモビリ・ランボルギーニ社オフィシャルミュージアム「MUDETEC(Museo Delle Tecnologie)」で見ることができる「ディアブロ」の初期のコンセプト「P132」プロトタイプと、故ザンポッリ氏のもとで完成に至った「V16T」との間の謎を解く、いわゆる「ミッシングリンク」のひとつともなり得る可能性を秘めているのだ。
実際、今回のオークション出品に添付された写真では、ランボルギーニP132はもちろんのことマセラティ「チュバスコ」やブガッティ「EB110」など、未完に終わったガンディーニ・プロジェクトとよく似たボディラインやディテール処理が見受けられよう。
ガンディーニ氏がチゼタ・プロジェクトに参画したのと時を同じくして、ランボルギーニ・カウンタックの後継車に取り組んでいたことは、これまで史実に語られているとおりだ。
ところが、北米クライスラー・グループによって、1987年にランボルギーニ社が買収されたことによって状況は一変。ガンディーニ氏の最初のプロトタイプは、クライスラーのリー・アイアコッカCEO(当時)の判断によって、生産型のディアブロとして体現された、より穏当なデザインアプローチへと切り替えられることになる。
●30年以上マラネッロに眠っていたミッシングリンク
一方、こちらのモックアップが表現するウェッジシェイプのシルエットとシャープなラインは、間違いなくマルチェロ・ガンディーニ氏によって創造されたものであり、伝説的なスーパーカー・プロジェクトのひとつであることが証明されている。
ちなみに、今回の「Get Your Classic」オンライン・オークションへの出品は、フェラーリ本社からほど近い場所に、ガブリエレ・カンドリーニ氏が構えるクラシックカー/レーシングカー専門のスペシャルショップ「マラネッロ・プロサングエ」社によるものとのこと。
ただ製作されてから30年以上の時を経て、いかなる経緯ののちにこのモックアップがマラネッロ・プロサングエ社に身を寄せることになったかについて、Get Your Classicの公式WEBカタログでは何ら説明されていない。
しかし、マラネッロといえばフェラーリの聖地であるとともに、かつてのチゼタの本拠であるエミリア・ロマーニャ州モデナ近郊の町である。ほかにも大小のスーパーカー専業コンストラクターとその関連業界がひしめくことから、「モーターバレー」とも呼ばれるこの土地にて、30年以上にわたってスーパーカー関係者のもと秘匿されてきたことは容易に想像がつくだろう。
Get Your Classic社はマラネッロ・プロサングエ社との相談の結果、エスティメート(推定落札価格)を1万9000ユーロから2万4000ユーロの間、つまり日本円に換算すれば約246万円から約311万円に設定したという。
おそらくは移動のためにステアリングを操舵することもできない、実質的には単なるオブジェに過ぎない原寸大模型ながら、伝説のスーパーカーのために伝説のデザイナーが製作したモックアップに、マーケットがいかなる評価を下すかに興味が注がれていたが、やはり現実は厳しかったようだ。
オンライン・オークションは、開始価格5000ユーロでスタート。7日目までには7800ユーロ、日本円換算で約101万円まで達したものの、その後の入札は競売締め切りまで途絶えてしまい、最低落札価格に及ばず流札に終わってしまった。
故ザンポッリ氏の訃報も合わせて、全世界のスーパーカー愛好家が注目していたであろうオークションだっただけに、残念な結果である。
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