アストンマーティン寺嶋正一氏に訊く「新型車とEVの最新情報&ビスポークでできること」とは【単独インタビュー:後編】
ワンオフモデルもオーダー可能なビスポーク部門「Q by アストンマーティン」とは
──先日発表されたDBX707の反応はいかがでしょうか?
「DBX707も新社長の肝いり第一弾ですね。当然力も入っていますし、社を上げてかなり準備もなされ、まるでニューモデルが発表されるかのような演出でした。
ネーミングは707馬力から来ていますが、ダブルオーもちょっと関係があるのかなというのも匂わせつつ、これまでのように“S”ではなくモデル名に数字を使ったところに、明確に変わろうとしていることが感じられますね。
発表と同時にかなりの反響を頂いています。グリルが27%大きくなり、デイタイムランニングライトの形状やスプリットのディフューザーの形状も変わりました。マフラーも4本出しになってかなりアグレッシブな佇まいです。これまでアストンマーティンの運動性能に満足していなかった方たちへリーチできているようです。
逆にアストンマーティンにこれまでのエレガントを求めるとしたら、既存のDBXをお選び頂けるので、選択肢が広くなったと考えています」

●日本のカスタマーにも、「自分だけの1台」を
──2022年に掲げる目標はございますか?
「今年はビスポークについても力を入れていくつもりです。いま、市場に在庫がなくて、お客様の受注生産に切り替わっています。そこで、“Q by アストンマーティン”で自分だけの1台を作ってもらうということを推進していきたいですね」
──Q by アストンマーティンでは、いわゆるワンオフのような車両もオーダーできるのでしょうか?
「もちろんです。最近だと『Victor』がそうです。ベースは『ヴァルカン』でした。『ラピード』ベースのセダンで、『ラゴンダ』を作ったこともあります。これは確か3台ぐらい手がけたはずですよ」
──日本のカスタマーの“Q by アストンマーティン”の利用率はどれくらいですか?
「現在はまだ“Q byアストンマーティン”を使ってオーダーしている方は非常に少ないです。やはり勇気の要ることですし、時間のかかることなので。
そもそも“Q byアストンマーティン”は、各ディーラーと本社のQ部門が連携してカスタマーの希望どおりにクルマを仕立てていくのですが、通常のコンフィギュレーションの中でだけでも選べる範囲が非常にたくさんあるので、それだけでも非常に迷ってしまって選びきれないという現状があります。

しかしそうした手間やカスタマーの不安を私たちが取り払ってあげて、自分だけの1台を“Q byアストンマーティン”で仕立てることが、いかに楽しいことであるを分かっていただけるようにしなければいけないと思っています。
とはいえ、先日発表した限定10台という『DB11 ‘W1’』といった、“Q byアストンマーティン”が手がけたビスポークのリミテッドエディションはすぐに売り切れてしまうから興味深いですね。日本はどこの国よりも早くこうしたリミテッドエディションから先に売れてしまうのですから」
【編集後記】
映画『007』に登場する「Q」は、秘密兵器などの開発を担当する部署でありそのトップを示すコードネームだ。ジェームズ・ボンドが劇中でドライブするアストンマーティンにさまざまな秘密兵器を装備するのも、この「Q」である。
そういえば、劇中でジェームズ・ボンドが受け取る秘密兵器や改造されたアストンマーティンは、ボンドがオーダーするというより、「Q」からの提案であったり開発されたものであったりすることのほうが多い。
ひょっとしたら日本で、Q by アストンマーティンが作ったリミテッドエディションがすぐに完売するというのは、そうした映画の世界観との関連もあるのかもしれない。
とはいえ、Q by アストンマーティンに自分仕様にオーダーするのは、仕上がったクルマが手元に届くまでの時間を楽しむという意味でも、そして納車されたクルマと長く関わっていく上でも、プライスレスな体験であることは間違いないだろう。
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