世界に1台のフェラーリは「道ならぬ関係」の女性へのプレゼントだった! サウジ王子がミケロッティに作らせた跳ね馬とは
ファーストオーナーの王子がすぐに手放した理由とは
現時点における最終の車両登録はクウェートでなされ、今回の「PARIS」オークションにはアラブ首長国連邦ドバイから出品されたフェラーリ「メーラS」に、出品者とRMサザビーズ欧州本社は9万~11万ユーロ(邦貨換算約1150万〜1400万円)という、12年前にフェラーリ・クラシケへと支払われたレストア費用さえも大きく下回るような、かなり控えめともとれるエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

●予想を遙かに上回った落札価格
しかし、さすがにこれは過小評価だったようで、2022年2月2日におこなわれた競売ではエスティメート上限の実に4倍にあたる43万2500ユーロ。日本円に換算すれば、約5430万円で落札されるに至った。
5000万円越えというのは、依然として十分以上に高価であるのは間違いあるまい。しかしこれから世界の一流コンクール・デレガンス、たとえば近年は特別なクルマであればヤングタイマー世代のモデルにも門戸を開くようになったイタリアの「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」や、アメリカの「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」などへのエントリー権も射程距離にあると推測される。
さらに、もしも近い将来に1980年代以降のモデルも招待の対象になる日が来るならば、世界最高峰の「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」出品も狙える可能性が出てくることも見越せば、この日の落札価格はリーズナブルともいえなくはないと思うのだ。
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ところで、このメーラSがオークションに出品されるというニュースがリリースされた際、日本国内でも複数のメディアにプレビュー記事が掲載されていた。しかし、それらの記事の中には「結局のところガールフレンドの“ミーラ”からはどのような評判だったのであろうか気になる謎は残ったままだ」と締めくくられるもの散見された。
しかしメーラSにまつわる数奇なストーリーとその結末は、実はデザインと開発を担当した張本人である内田盾男氏が、1990年代中盤に上梓された著書の中で克明に記していた。
ここではその内容のすべてを詳らかにすることはしないが、筆者の記憶が確かならば、オーダー主である王子と「メーラ」は、いわゆる「道ならぬ関係」にあったこと。そしてこのクルマを贈られるはずだった彼女とは納車を前に別離を余儀なくされており、「メーラ」が「メーラS」に対面することはないまま終わってしまったなどのエピソードが、その本では記されていたはずである。
この種の特別な歴史を持つクルマを手に入れるということは、文化財の一時的な預かり人として、そのクルマに込められた歴史をも担うことになる。今回のフェラーリ・ミケロッティ「メーラS」のオークション出品は、その事実を今いちど再認識させる結果となったようだ。
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