スーパーカーの象徴「リトラクタブル」ライトはどうしてなくなった? 隠れるヘッドライト3選
点灯しないときはいっそのこと隠してしまおうという発想
樹脂製レンズの製作技術の進化やLED化にともなって、21世紀以降はボディラインの一部となるようなデザインが一般化したヘッドライト。
しかし20世紀後半には、専門メーカーから供給を受ける丸型2灯/4灯や角型2灯/4灯の規格サイズのものを装着し、ボディデザインも、規格型のヘッドライトを前提とするというのが一般的だった。そうした状況でも自動車デザインにおける自由を求めるスタイリスト(デザイナー)たち、空力面などでの効率を求めるエンジニアたちは、さまざまのアプローチでヘッドライトを「隠す」ことを思いついたとされている。
今や新車としては事実上の死滅状態にある、隠れるヘッドライトの手法を3つピックアップ。解説させていただくことにしよう。

●ライト全体をカバーで隠すタイプ
20世紀中盤までのクルマでは、ラジエーターグリルは機能をそのまま示すようにノーズのセンターに独立して、クルマの「顔」の中核をなしていた。ところが1950〜1960年代のアメリカ車あたりから、ジェット航空機がデザイン上のアイドルとなり、ラジエーターグリルも単なる「エアインテーク(空気取り入れ口)」のように見せるデザインが主流となってゆく。
そこで、さらにフレッシュかつクールなデザインを目指したアメリカのデザイナーたちは、ラジエーターグリルの一部のように見せるためにグリルと繋がるデザインとされた可動式のカバーで、ヘッドライトを隠すデザインを発案するに至ったという。

「ハイドアウェイ・ヘッドライト(Hideaway Headlight:隠れたヘッドライト)」とも呼ばれるこの手法では、代表格のひとつである初代シボレー「カマロ」のように、カバーを左右にずらすもの。あるいはダッジの初代「チャージャー」やマーキュリー初代「クーガー」のごとく、カバーを90度クルリと回転させて、ライトユニットの上ないしは下に逃がすものなどが、いずれも1960年代後半から登場していたとのことである。
また、昔ながらのラジエーターグリルをセンターに堂々と掲げたキャデラックやリンカーンでも、1970年代にはハイドアウェイ・スタイルが、あくまで一時的ながら流行していたようだ。
さらにアストンマーティンが1970年代末、実験的に製作したスーパーカー「ブルドック」では、前後で二分割したフロントフードの後半部前端にヘッドライトを並べ、消灯時には前半部を電動で昇降させることで隠すという大胆なデザインに挑戦していた。これも、ハイドアウェイ・スタイルの拡大解釈といえるかもしれない。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
“時を愉しむ”という究極の贅沢――カンパノラ「星響」と巡る、足利・静寂とウェルネスの旅【PR】