プロトタイプ試乗で見えたレクサス「RZ」が秘めた実力! ハンドリング性能の高さは想像以上
常識をはるかに超えたフットワーク
そんなハンドリングの印象をお伝えする前に、まずはRZのパワートレインに関する印象について書くことにしよう。
加速性能は高い。だがそれが「ワオ!!」レベルかと聞かれれば、実はそうでもない。いや、加速性能そのものは文句なしなのだが“おだやかさをともなった速さ”というのが、テスラをはじめとする最近のプレミアムEVとの違いだ。

RZは速さの演出としての「グワッ」とか「ドッカン」といったフィーリングをあえて排除しており、アクセル操作に対して遅れはないけれど、適度なタメのあるおだやかで気持ちがよく、扱いやすい過渡特性を与えている。
インパクトという点では薄いかもしれないが、そもそも「グワッ」とか「ドッカン」なんて加速は、納車直後に何度か体験して悦に入るだけであり、ほとんどの人はその後、試さなくなるだろう。それよりも、日常的な扱いやすさや気持ちよさ、あるいは“電費”に貢献する味つけの方が、長い目で見たときの顧客満足度は上がると思う。
●遊び心がプラスされれば鬼に金棒
RZはフットワークも徹頭徹尾、ナチュラルな仕上がりだ。ステアリング操作に対する遅れはほとんどないが、クルマの動き自体は鋭すぎず鈍すぎず、速度やコーナーの曲率を問わず、常に思ったとおりに曲がってくれる。
試乗した日は日曜日ということもあり、騒音を抑えることを理由に「タイヤのスキール音を出さない程度の走りで」とのリクエストを受けていたが、RZはあと1〜2km/hコーナリング速度が上がればタイヤが「ギャー」と派手に鳴きはじめる手前のギリギリ(わずかに「キューッ」と聞こえる程度)の領域を、見事に保ったまま走れる。
驚いたのは、その状態を完璧に一定に保てること。路面の凹凸や激しいアップダウンによる荷重変化に対してタイヤのグリップ変化が小さく、しかも、ライントレース性の高さにより修正舵をほとんど必要としないためだ。
サーキットのような平滑な路面ならまだしも、下山のような厳しいコースでここまで繊細にコントロールできるのは、ちょっとスゴい。豊田章男社長と佐藤恒治プレジデントが「ワオ!」といっていたのは、常識をはるかに超えた、このフットワークなのではないか? いや、きっとそうに違いない。
こうした基本性能の高さに加え、今回の試乗車はプロトタイプでありながら、静粛性や乗り心地も高いレベルに達していた。前述したように動力性能も十分以上だ。つまり、RZはとても完成度が高い、優秀なEVに仕上がっている。

あえてRZに疑問符をつけるなら、突出した部分がなく、すべての項目が高次元でバランスしているため、その魅力がわかりにくいかもしれない、ということだ。RZのおいしさは“辛さ100倍カレー”とか“油ましましラーメン”といった、わかりやすいインパクトを求める人には伝わりにくい。愛車として長く乗れば、そのよさをしみじみ理解できるが、短時間の試乗ではニンニクを入れたり胡椒を振りかけたりしたくなる人もいるだろう。
レクサスの真面目で真摯なクルマづくりの姿勢は間違いなくリスペクトに値するが、同時に、もう少し商売っ気を入れ込んでもいいのでは? とも思った。たとえば、走行モード切替メニューの階層のいちばん深いところに“ドッカン加速モード”をそっと忍ばせておくような遊び心が加われば、それこそ鬼に金棒だと思う。そのあたりは、今後登場するかもしれない高性能モデルや、今後実施されるであろうEVならではのアップデートに期待したい。
●LEXUS RZ PROTOTYPE
レクサス RZ プロトタイプ
・全長:4805mm
・全幅:1895mm
・全高:1635mm
・ホイールベース:2850mm
・駆動方式:4輪駆動
・出力:フロント150kW(約203.9ps)、リア80kW(約108.8ps)
・総電力量:71.4kWh
・1充電走行距離(WLTC):約450km(開発目標値)
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