ベントレー「フライングスパーW12」の美しさと速さと乗り味に驚愕「EV時代へ語り継ぎたい12気筒の味わい」とは
決して“イギリス風のドイツ車”ではないフライングスパー
いまや絶滅危惧種となった12気筒エンジン。BMWやメルセデス・ベンツといったプレミアムブランドでも用意するのは難しくなり、今後、搭載モデルはラグジュアリーブランドのみに絞られてくるだろう。スポーツカー界ではフェラーリとランボルギーニ。サルーン界ではロールスロイスとベントレーが、12気筒をラインナップする代表的なブランドになる。
今回試乗したのは、ベントレー「フライングスパーW12」。ベントレーモーターズジャパンから送られてきたリストのなかから1台を選んで試乗するというイベントでドライブしたのだが、迷うことなくこいつを指名した。理由はおわかりだろう。12気筒エンジンを積んでいるからだ。

ちなみにリストにあった車種は、(1)フライングスパーW12、(2)同V8、(3)コンチネンタルGT V8、(4)同コンバーチブル、(5)ベンテイガHV(ハイブリッド)、(6)同スピードの計6台。ベンテイガ・スピードもW12エンジンを積んでいるが、ベントレーの世界観をより濃密に味わえるのはSUVではなくサルーンだろうと考え、フライングスパーW12をリクエストした。もし、W12を搭載した2ドアクーペの「コンチネンタルGT」が用意されていたら、そちらを選んでいたかもしれないが。
現行のフライングスパー(とコンチネンタルGT)は、ポルシェが主導して開発したMSBと呼ばれるプラットフォームに、フォルクスワーゲンが開発した6リッターのW型12気筒ターボエンジンを搭載している。ベントレーはイギリスのブランドだが、使われているのはドイツのテクノロジーというわけだ。
しかし、フライングスパーは決して“イギリス風のドイツ車”ではない。すべてにおいて非ドイツ的であり、イギリス的だ。それがもっとも顕著に表れているのが内外装だろう。全長5325mm、全幅1990mm、ホイールベース3195mmという堂々たるサイズが表現しているのは、スピード感ではなく、堂々たる威厳とスタティックな美しさだ。インテリアはもちろんウッドとレザーで埋め尽くされているのだが、ウッドとレザーさえ使えば高級なのか? そんなわけないだろ? という職人たちの声が聞こえてきそうだ。

フライングスパーW12のインテリアにあしらわれた木目の美しさと表面のつや、レザーの肌触り、完璧にそろったステッチの美しさはまさに息をのむほど。ラグジュアリーのなんたるかをイヤというほど見せつけられた気がした。まさに、文具などの日用品を工芸品レベルまで磨き込むという英国流の職人ワザ=クラフトマンシップの頂点である。
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