初代の全長は軽自動車並みだった! ホンダ歴代「シビック」“一気乗り”で見えた50年分のクルマの成長
誕生50周年を迎えたシビックの歴代モデルを乗り比べ
先日、「シビック」の歴代モデルを“一気乗り”する機会に恵まれた。それはまさに、自動車50年分の進化が凝縮された、まるで時代を一気に駆け抜けたかのような体験だった。

何を隠そう2022年は、シビックのデビュー50周年という節目の年。それを記念して、ホンダはメディア向けに歴代シビックの一気乗り企画を実施。短い時間の試乗ではあったが、歴代モデルのステアリングを握り、それぞれを乗り比べできる貴重な体験となった。
1972年に発売された初代シビックは、“CVCC(Compound Vortex Controlled Combustion)”というホンダ独自の排出ガス浄化システムの搭載でアメリカ西海岸における大気汚染問題解決の突破口を開くとともに、世界的に大ヒットした。
しかし、初代シビックに触れて何より感じたのは、昨今のクルマとの大きな違いだった。たとえば、運転席に座ってシートベルトを締めようと思ったら、それが見当たらない。よくよく見ると、初代シビックに装備されていたシートベルトは、ショルダーベルトのない2点式だった(前席に3点式シートベルトが義務化されるのは1975年4月のこと)。
また、ホイールハウスが膨らんでいる影響から足元はアクセルとブレーキのペダル位置が左寄りで、最新モデルの感覚でブレーキを踏むと、ついアクセルを踏んでしまいそうになるほど。50年分の進化を痛感させられた。一方、インパネのウッドパネルなど、イマドキのコンパクトカーとは違ってコストをしっかり掛けられた上質感がうかがえたのも印象的だった。
2代目シビックの試乗車は、ホンダ初となる5ドアワゴン「シビックカントリー」が用意されていた。1979年にデビューした2代目は、印象としては初代モデルの延長線上。一方でホディサイズは、ワゴンではないハッチバックでも初代に対して全長が300mm以上大きくなっている。フルモデルチェンジでこれほどまでに大きくなると、今なら賛否がわかれるに違いない。でも、当時は社会の上昇志向が強かったから、それも受け入れられたのだろう。また、コストの制約が厳しいコンパクトカーながら、ダッシュボードにソフトパッドが張られていたのには驚いた。
1983年デビューの3代目シビックでは、それまでの2世代と比べて走行感覚が突然変化したことを実感。しっかり感が増し、ネオヒストリックカーではなく普通のクルマをドライブしているような気持ちになった。
ペダルレイアウトも不満を抱かないレベルにまで最適化されていて、このフルモデルチェンジでシビックの、いやホンダのクルマづくりが劇的に進化したことがうかがえる。それはデザインも同じで、初代や2代目とは全く異なる直線的でモダンなスタイルが特徴だ。
1987年デビューの4代目シビックに乗って驚いたのは、パワーウインドウが備わっていたこと。日本全体がバブルへの階段を上るこの時代、コンパクトカーでも上級志向がよくわかる形で具現され、それは多くの顧客に満足感を与えたことだろう。デビューから35年経った2022年に乗っても、クルマづくりに世相をしっかり反映させていることが理解できる。
デザインの方向性を再び大きく変わったのが、1991年デビューの5代目だ。ブラジルのサンバをイメージしたというエクステリアは、全体に丸みを帯び、フェンダーなどのふくらみが特徴。ドアが厚くなり、ステアリングの形状なども立体感が増し、走り出すと運転感覚におけるしっかり感が大幅にレベルアップしていることを感じた。
1995年デビューの6代目は、5代目と見た目が異なる以外に真新しさはあまりない。それは、バブル崩壊後の不況が開発に影響した結果なのだろう。そんな中、印象的だったのは、ホンダが保存している個体が、4代目までと違ってATだったこと。時代を反映し、このクラスにもATの波が訪れたことがうかがえる。6代目のシビックは、「タイプR」が設定されたことが大きなトピックだ。
2000年デビューの7代目は、それまでのモデルに対して全高が120mm以上高い高効率パッケージングとなった。これは、ミニバンブームの兆しが見えるなど時代のニーズを受けてのものだ。室内も、質感が大幅にアップした上、カーナビが一般化(6代目にも用意されたが装着率は高くなかった)するなど、イマドキのクルマに近い仕立てとなってい。
国内向けはセダンだけとなった8代目は2005年のデビュー。そして日本には、2015年からタイプRだけが導入されることになった9代目となると、もはや走りに関しては現代のクルマに近いレベルだ。なかでも9代目のタイプRは、2022年に乗ってもサーキットをグイグイ走れる骨太感を実感した。
その後シビックは、2017年に日本で発売された10代目でさらなる大型化・上級化が図られ、2021年には現行モデルとなる11代目へとバトンをつないでいる。
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