広大な荷室はキャンプや車中泊に“使える” プジョー「リフターロング」は力強い走りも魅力的
遊びのギアを積み込んで出かけるレジャードライブにマッチ
今、日本の新車マーケットで堅調なヒットを記録しているジャンルがある。それはフランス生まれのハイトワゴン。今回の主役は、そんな人気カテゴリーに属しているプジョー「リフター」のロングバージョン「リフターロング」である。

フランス生まれのハイトワゴンと聞けば、多くの人が思い浮かべるのはルノー「カングー」だろう。商用バンをベースに内装を上質に仕立てたモデルであり、高いルーフに広い居住空間とラゲッジスペース、そして左右にスライドドアを組み合わせた実用的なパッケージングが何よりの特徴だ。
しかし、カングーオーナーの多くが魅力を感じているのは、そうした実用性だけではない。実用性が高いのは当然の要素であり、その上で、おしゃれな暮らしの相棒としてカングーをチョイスいるのだ。
興味深いのは、「輸入車をパートナーするおしゃれな暮らし」といっても、プレミアムブランドのようにステイタス性を求めるのとはベクトルが全く異なること。オーナーにとってカングーは、シンプルで堅実なのが重要。ある意味、フランスらしいクルマづくりに共感している人が多い。それもあってか、カングーは高級に見えるボディ同色バンパーのモデルより、樹脂の素地そのままの黒いバンパー仕様の方が人気は高いのである。
いずれにしろ日本のカングー人気は、フランス本国のルノーのスタッフが一目置くほど盛り上がっている。
さて、今回の主役であるプジョーのリフターロングに話を戻そう。
ベースモデルとなった“標準”のリフターは、兄弟車であるシトロエン「ベルランゴ」とともにカングーのライバルとして位置づけられるモデルだ。全長4405mm、全高1880mmという背の高い2列シートワゴンで、左右にスライドドアを組み合わせることで高い実用性を実現した。
そんなリフターは、2019年秋に日本での販売がスタートするや多くのオーダーを獲得。新車供給が滞っている現状もあって、中古車市場で驚くほど人気のモデルとなっている。
そんなリフターに対し、「キャビンがもうひと回り広ければいいのに」という声があったのもまた事実。具体的にいえば「本国に設定のある3列シート仕様が欲しい」というニーズだ。
インポーターがそうした人々の声に耳を傾けて上陸したのが、新しいリフターロングだ。1850mmという全幅はそのままに、ホイールベースとボディを延長。ホイールベースは“標準”のリフターに対して190mmプラスとなる2975mm、全長は同355mmプラスとなる4760mmになった。
それによりリフターロングが手に入れたのは、3列目シートと広いラゲッジスペースだ。「3列目シートがマスト」というユーザーにとって有力な選択肢となるのはもちろんのこと、3列目シートを取り外すと1050リットル(2列目シートの背もたれ上部まで)〜1900リットル(天井部まで)という、“標準”のリフターに対して約2倍となるラゲッジスペースは、たくさんのギアを積み込んで出かけるキャンプなどのアウトドアレジャーのアシとして有効だ。
また、3列目シートを外して2列目シートの背もたれを倒し、さらに助手席の背もたれも倒すと、荷室容量は最大2693リットルに。3mを超える長尺物を積み込めるのもポイントで、長いフィッシングロッドやサーフィンのロングボードにも対応するからアクティブなライフスタイルにちょうどいい。

ちなみに、間もなく上陸する新型カングーには、現時点で3列シート車の設定はアナウンスされていない。そういう点から見ても、リフターのロングバージョンはライバルに対する大きなアドバンテージといえそうだ。
そんなリフターロングは3列シートを備えているとはいえ、かゆいところに手が届くほどつくり込まれた日本のミニバンと同じ感覚で使うのは難しい。
具体的には、2列目シートにはスライド機構がついておらず(3列目シートは130mmのスライド機構つき)、2列目と3列目のシート間には段差がありフロアがフラットではない。さらに、3列目シートは小さく格納できない(その代わりに取り外せる)上に、日本においてミニバンの必須装備とされる電動スライドドアの設定もない。それらに納得できた人だけが、リフターロングを“手に入れる資格がある”といい換えてもいいだろう。
いずれにせよリフターロングは、キャビンが広くて快適性が高く、アウトドアレジャーのギアもたくさん積み込める。質実剛健という意味において国産ミニバンをリードしているのは、やはり商用車ベースならではの美点といえそうだ。
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