アルファ ロメオ初の小型SUV「トナーレ」は魅力満載 デザインも走りもアルファ“らしさ”にあふれてる
MHEVながらモーターだけで走行できる領域が広い
今回上陸したトナーレは、MHEV(マイルドハイブリッド)モデルだ。デビューの際にはPHEV(プラグインハイブリッド)仕様の存在もアナウンスされているが、そちらはヨーロッパで2023年春ごろの発売予定。先に世に送り出されたことからも価格の面からも、MHEVモデルをメインストリームに据えていることが察せられる。

パワートレインの柱となるエンジンは、“ファイアフライ”系を基礎にはしているものの、エンジニアによれば「ほぼ新開発といえるくらい手が加えられた」可変ジオメトリーターボつきの1.5リッター直列4気筒。そこに、48Vモーターを内蔵した7速デュアルクラッチ式トランスミッション、エンジンの始動と回生ブレーキを担うベルトドリブンスタータージェネレーター、リチウムイオンバッテリーが組み合わせられている。
気になるパワーとトルクは、エンジンが160ps/5750rpmと240Nm/1700rpm、48Vモーターが単体で20psと55Nmとなるが、トランスミッション比の関係で、モーターのトルクはギアボックス入力値で135Nmに相当するという。それらをフロントタイヤで路面に伝え、1630kgの車体を走らせるというわけだ。
面白いのは、MHEVでありながらモーターだけで走行する領域が広いということだ。バッテリー容量が限られているので常に、というわけじゃないが、基本、発進時や低速域ではモーターだけで走行する。メーカーは「15〜20km/hくらいまで」と公表しているが、充電量がたっぷり残っている状態でアクセルペダルをジワジワ静かに操作していくと、30km/hくらいまではモーターだけで走る様子を確認できた。
さらに、巡航状態からアクセルペダルをオフにするとコースティングもするし、制動力に大きく作用しているとはいえないが、減速時は回生によって充電されていることが分かる。それらが燃費に好影響を与えているだろうことは想像に難くない。さらにいうなら、巡航時にアクセルペダルを踏み込むと、エンジンのトルクがついてくる前の一瞬、別の推進力を得ていることが感じられるから、それほど大きいわけじゃないとはいえ、ちゃんと加速をアシストしていることも分かる。電動化のメリットは間違いなくあるのだ。
とはいえ、電動化はエンジンとの組み合わせで活きる、トナーレの魅力のほんの一部に過ぎない。1.5リッター直4ターボはバリバリのスポーツユニットというわけじゃないし、決してパワフルといえる類でもないが、レスポンスはなかなか鋭いし、トップエンドまでよどみなく気持ちよく回っていく。回転が伸びていくときには、いかにも4気筒といった感じのかなり快いサウンドを聞かせてくれる。もちろん時代が時代なので、昔のアルファのエンジンのような濃厚さはないが、はっきりと回していくことが楽しい高回転型。回転の低い領域は、持ち前の比較的豊かな低中速トルクとモーターによるアシストの相乗効果でまかなっているから扱いづらさもない。
総じるなら、十分スポーツドライビングを楽しむことができるパワートレインだし、スピードも不満なく伸びていく。バカっ速いクルマではないけれど、爽快なことこの上なし。ブンブン回しながら走ってるときの爽快感に関しては、もしかしたらステルヴィオの2リッター直4をわずかに凌駕しているかもしれない。

誤解を恐れずにいうならば、スピードの多寡よりも快さや楽しさを重視したクルマづくりをおこなってきたのがアルファのプロダクションモデルの伝統である。トナーレもまさしくその系譜の上にあるわけだ。
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