680馬力を発生するアストンマーティン新型「DB12」はいかに進化した? 「スーパースポーツカーの勢力図」を変えそうな意欲作のスゴさとは
想像を超えた驚きをもたらすドライブフィール
前置きが長くなりましたが、いよいよ走りの進化ぶりを確かめてみましょう。今回の試乗の舞台となったのは、フランスはニース近郊。ここからカントリーロード、山岳路などさまざまな道を駆け抜け、最終的にモナコのホテルまで走ります。

まずはドライバーズシートに座り、着座姿勢を合わせます。従来の異型タイプから真円になったステアリングホイール、ボタン式からトグルスイッチに変更されたシフトノブは、やはりしっくり馴染みます。そしていよいよスタートさせると、待っていたのは想像を超える驚きでした。
まず感心させられたのは乗り心地のよさ。とはいっても、単にやわらかくなったというよりは、姿勢のフラット感が増し、サスペンションがしなやかに、雑味なく動いて、質が高まった。そんな印象でしょうか。ボディ、サスペンション、タイヤと多くのコンポーネントの進化が、しっかり走り味に反映されています。
パワートレインの感触も上々です。パワーアップしている分、2000rpm以下の領域ではやや物足りなさがあるかな……と、細かいことをいえばいえなくもないのですが、そこからのトルクの立ち上がりはなめらかですし、もちろん絶対的なアウトプットも強力。どこからどのように踏んでも思いどおりに力を発揮できる、ある種の全能感的な歓びに浸ることができます。
感心させられたのは、まさにそのリニアなパワーの伸びで、トルクは豊かだけれどレスポンスがシャープすぎることはなく、また回すほどに盛り上がっていくようなスポーツ心臓としてのうれしい感触がしっかり味わえます。ご存知のとおり、このエンジンはメルセデスAMGから供給されているわけですが、こうした躾け(しつけ)はアストンマーティンでおこなわれています。単なる“パワー発生機”ではない、コクのある味わいは、まさに丹精込めたつくり込みの賜物というわけです。
これだけ気持ちいいエンジンがあると、ついついペースが上がってしまうのですが、DB12のフットワークはそれに十分応えてくれる仕上がりで頬を緩ませてくれました。何しろコントロール性がバツグンなのです。
ステアリングフィールは豊かでレスポンスは正確。切り込んでいくと長いノーズが思ったとおりにインを向いていってくれます。ブレーキの効き、タッチも素晴らしく、ターンインでの姿勢づくりもとても容易です。
そしてコーナー出口に向けてアクセルを踏み込んでいくと、アンダーでもオーバーでもない、とてもニュートラルな感触で立ち上がることができます。これは新採用のE-デフの効果、おそらく大きいはずです。
もちろん、DB12にはESPがついているのですが、こちらは先進の“6軸慣性測定ユニット”を始めとするセンサー情報を元に、ABSやトラクションコントロールなどと統合制御されていて、唐突なところのない介入を実現しているといいます。実際、突然の豪雨の中を初採用の「WET」モードで走らせたときには、嫌な制御感なしに挙動変化を抑えてくれて、安心して飛ばすことができました。何しろ最高出力680psのFRですから、本来は結構シビレる状況だったはずなのに! です。
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