VAGUE(ヴァーグ)

FFスポーツの頂点を極める ルノー「メガーヌR.S.トロフィー」を筑波サーキットで試した

1.8リッターターボエンジンは300馬力/420Nmで前輪を駆動

 フランス生まれのルノー「メガーヌ」も、ドイツ西部に位置するニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)が気になるようです。

 1周20kmを超える、世界一過酷といわれるサーキットで、FF最速タイムを更新しているのがメガーヌ「ルノー・スポール」です。ルノー・スポールは通常「R.S.」と略され、クルマに付けられるバッジもこの略称で表示されています。

そして、これまでのどのメガーヌR.S.より強力な「メガーヌR.S.トロフィー」が上陸しました。

  • 筑波サーキットを走行するメガーヌR.S.トロフィー

 メガーヌR.S.に「トロフィー」という名前が付くモデルは、過去にも2005年発売の「メガーヌII R.S.トロフィー」、2012年発売の「メガーヌIII R.S.トロフィー」、そして2015年に発売されたフェイスリフト後の「メガーヌIII R.S.トロフィー」と、日本にも3車種が上陸しました。

 今回のトロフィーは、メガーヌR.S.通常モデルの、1.8リッター直噴ターボエンジンから21馬力アップして300馬力になり、最大トルクは30Nmアップして420Nmとさらに強力になっています。

 ちなみにこの420Nmという最大トルクは、2ペダルの6速EDC(DCT)モデルのスペックで、6速MTモデルは400Nmです。これはおそらく、トランスミッションのキャパシティに合わせて最大トルクを決めたのだと思います。

日本では、2019年10月31日から発売が開始されましたが、デビューしたてのメガーヌR.S.トロフィーにサーキットで乗ることができました。とはいっても、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの10分の1、1周2kmの筑波サーキットです。このサーキットを舞台に、新しいメガーヌR.S.トロフィーの走行フィーリングをお伝えします。

※ ※ ※

 ホームストレートを過ぎて第1コーナーに向かっていき、150km/hオーバーからブレーキングを開始します。

 60km/h台までスピードを落としてターンインして、そこから出口に向かってアクセルを踏んで徐々に加速していきます。ターンインのときの挙動は、「R.S.ボタン」による走行モードの切り替えによって変化します。

 デフォルトである「ニュートラルモード」では、リアが滑り出す気配もなく弱いアンダーステアをキープして安定感があります。

「スポーツモード」にすると少しリアが出るようになって、ニュートラルモードより曲がりやすくなっています。

  • スポーツモード。ギアシフトプログラムやシフト時間、アクセルペダルとエンジン回転数に関する制御プログラムを変更するとともに、ESCと4コントロールのレスポンスやパワステの制御モードも連動して変化する

 そして「レースモード」では気持ち良く曲がるくらいリアが滑り、いち早くノーズがコーナー出口に向かってくれるので、早めにアクセルペダルを踏み込んで加速に移れます。リアが少し滑り出した段階でパワーオンすると、そこからはアンダーステアは出ずに素晴らしいトラクションにより加速していきます。アウトに膨らんでいかないので、思い切りアクセルペダルを踏み込んでいけます。

 やはりサーキットを走るときには、このレースモードが走りやすいのです。

 これは最大2.7度動く後輪操舵「4モーション」の、逆位相から同位相への変換点の車速が変わるためです。通常のニュートラルモードでは60km/hで切り替わります。逆位相は小回りが効くように動くのですが、同位相では安定性を高めるために効果があります。

 それがレースモードになると、切り替わる車速が約100km/hに上がります。つまり100km/hを超えないと安定方向に後輪操舵しないので、第1コーナーのターンインのスピード域ではよく向きが変わるように作用しているのです。

 ターンインで少しリアが滑り出すような感じにはなりますが、安定性を欠くような動きではなくサーキット走行として安心感があります。ゆっくりした動きなのでコントロール性はとてもいいです。

 4モーションは、ニュートラルモードとスポーツモードでは同じように60km/hで切り替わります。なぜフィーリングに差が出たのか不思議だったのですが、ルノーのスタッフに聞いたところ、ESC(横滑り防止装置)の作動に違いがあるそうです。スポーツモードの方がESCの介入が遅いそうで、よりスポーティな走りに合わせているからだそうで納得がいきました。

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こもだきよし
こもだきよし
モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長(2016年〜) 1950年 神奈川県川崎市生まれ 自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、1984年から新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。クルマが好きというより運転することが好きでこの仕事をしている。 世界一の難所と云われるドイツのニュルブルクリンクの北コース(ノルドシュライフェ)を1984年5月に初めて走ってから40年間通い、BMW M社主催のBMW ドライビングエクスペリエンスで、インストラクターとしてドイツ人インストラクターとともに日本人参加者向けにニュルの走り方を伝えている。

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