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トヨタ“進化型”「GRヤリス」はなぜ大幅に進化した? 実戦で得た成果をすべて反映!! 開発責任者が振り返る「開発の舞台裏」

損傷時の“補修性”まで考慮した進化型の前後バンパー

 そんな“進化型”「GRヤリス」を見ると、その変更内容は車両全体の多岐に渡っていることが分かります。その多くは、プロドライバーやジェントルマンドライバーからのリアルなフィードバックが元になったものが多いそうです。

極限の領域で「壊しては直す」を繰り返すことで、全方位的に大幅進化を遂げたトヨタ新型「GRヤリス」
極限の領域で「壊しては直す」を繰り返すことで、全方位的に大幅進化を遂げたトヨタ新型「GRヤリス」

 エクステリアでは前後のデザインを刷新。フロントバンパーは冷却性アップのため開口部が拡大され、リアバンパーは操縦安定性に寄与する形状に変更されていますが、実は損傷時の“補修性”まで考慮した構造になっていることはあまり知られていません。

「我々はこれを“早川バンパー”と呼んでいます。これは、“TGRラリーチャレンジ”を8速ATの“GR-DAT(ダイレクトシフト・オートマチック・トランスミッション)”の開発のために走っていただいた早川茂副会長からの学びを活かしたもので、分割構造になっています。リアバンパー下部に装着されていたリアフォグランプを上部に移動したのも、損傷を防いで補修費を抑えるという考えからです」(齋藤氏)

 細かい部分では、リアコンビネーションランプが一文字に光るデザインに変更され、リアスポイラーの塗り分け変更(黒→ボディ同色)などもおこなわれていますが、なんとここにもプロドライバーからの声が反映されているそうです。

「リアコンビランプは大嶋和也選手からの、ひと目で『GRヤリス』と分かるアイコンが欲しいというリクエストを反映したもので、通称“大嶋テール”と呼んでいます」(齋藤氏)

 さらに“進化型”「GRヤリス」はインテリアも全面刷新。インパネ回りはベースモデルである「ヤリス」の面影は全くありません。

 まずはインパネ上部をフラット化し、ルームミラーの取りつけ位置も変更することで視界性能(特に左前)が大きく向上。加えて、運転席側に15度傾けた操作系やバラバラだった走行系スイッチの集約によって操作性もアップ。さらに、スポーツカーにしては素っ気ないデザインだったメーターパネルも「GRカローラ」譲りとなる多機能のフル液晶式に変更されています。

「コックピットは発売後にユーザーの方々からさまざまな指摘を受けた部分で、真っ先に手を入れたいと思っていました。そこで、S耐や全日本ラリー選手権を戦うマシンのコックピットを参考に新設計し、開発段階からプロドライバーにレイアウトや操作性までチェックしてもらいました。

 それと合わせて、シートポジションもヒップポイントを25mm下げ、ステアリングやペダルの位置も最適化しています。また細かい部分では、パワーウインドウスイッチを変更していますが、これは大嶋和也選手から『普通に使いにくいですよね』という声を元に手を入れた部分です」(齋藤氏)

 一般的に、インパネのデザイン変更はコスト面を考えると、商品改良時にメスを入れにくい部分です。しかし「GRヤリス」は、「高い運動性能を実現させるための重要な要素」と捉え、刷新を決意したといいます。ここにもモリゾウが語る“ドライバーファースト”の思想が活かされているといえるでしょう。

●素早く確実に、安心して楽に操作できる“PKB”

 さらに注目は、「RC」グレードにメーカーオプションとして設定された「縦引きパーキングブレーキ(PKB)」です。競技用のベースグレードとはいえ、ナンバーのついた量産モデルへの採用は驚きのひと言です。

「モリゾウさんには車両全体に渡って鍛えてもらっていますが、このPKBはズバリ、“モリゾウPKB”といってもいいくらい試してもらっています。

 これまでモリゾウさんが乗っていたラリー仕様の『GRヤリス』は、運転中、サイドブレーキを引きやすいよう改造していましたが、あるとき操作すると、腰がグキっとなってしまったそうです……。そこで、極限状態でも体への負担が最小限に抑え、素早く確実に、さらに安心して操作できるPKBを目指し、位置関係やレバーの長さを何度も調整してつくり上げています」(齋藤氏)

 ちなみに、WRC(世界ラリー選手権)に参戦している勝田貴元選手にPKBの操作性について話を聞くと、「完璧な位置関係で、僕が乗っているマシンよりいい場所についています。これはチームにごり押ししたい」と語ってくれました。

Next新たな武器“GR-DAT”はMTと同等の性能を持つ2ペダル
Gallery 【画像】「えっ!…」これが全方位的に進化した新しいトヨタ「GRヤリス」です(55枚)
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