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7速MTだからこそ味わえる「スポーツカーの醍醐味」 ツウ好みのポルシェ「911カレラT」の魅力とは? 買うなら今がラストチャンスか!?

クルマとの対話を楽しめることこそ「911カレラT」の醍醐味

 それでは、ややシェイプの深い電動スポーツシートに体を収め、公道へと歩みを進めましょう。

ポルシェ「911カレラT」
ポルシェ「911カレラT」

 重くはありませんが、しっかりと反力のあるクラッチペダルを踏み込んでエンジンをスタートさせると、3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンは「ボンッ!」と低く雄叫びを上げて目覚めます。

「勇ましいな」と思えるサウンドですが、これは専用装備のスポーツエグゾーストゆえ。ちょっとした違いではありますが、この辺りのちょっとした演出も歓迎する方が多いかもしれませんね。

 もちろん、ノーマルのカレラと同じエンジンとはいえ、最高出力は385ps、最大トルクは450Nmと、1.5トンを切る車重には十分以上のスペックを有していますから、ただのハッタリでもありません。

 続いて、混雑した街中を避けて首都高速へと進みましょう。少しスピードを上げただけ、ちょっとしたコーナーに遭遇しただけでも、「911カレラT」はその本領をチラリと披露します。

 まず感じるのは、心地いい“俊敏さ“。35kgの軽量化も効いているとは思いますが、重量でいえば燃料満タンと残量3分の1程度の差でしかありません。それでも、ニヤリと笑みがこぼれるような身のこなしは、PTVとスポーツサスペンション、そしてテスト車に装着されたオプションのリアアクスルステアリングの合わせ技といえそうです。

 走る舞台をワインディングに移しても、このニヤリとする走り味は変わりません。

 当然、公道であることと筆者の腕では、このクルマが秘めた本領、限界など垣間見ることはかないません。しかし、「911カレラT」は走る、曲がる、止まる……すべての操作が抜群に楽しく感じられるのです。

 それは、ガッシリとゆがむことすら許さない強靭なボディと低速域からスムーズに伸びるエンジン、さらに強力無比なブレーキといった優れた基礎体力に加えて、やはり7速MTと軽量化の相乗効果なのでしょう。

 マニュアルトランスミッションといっても、往年の「911」のようなシフトチェンジの際のコツは不要ですし、程よい重さのシフトレバーは「コクッ、コクッ」と変速操作が決まります。

 一方、リアシートや遮音材が省かれたことで、リアからは程よくエンジン音も聞こえてきますし、トランスミッションが発するメカノイズも微かに伝わってきます。

 ステアリングや各種ペダル、シフトレバーの感触、さまざまな音に五感を研ぎ澄ませつつクルマとの対話を楽しむ……そんな楽しさが「911カレラT」には満ちているのです。

 もちろん、機械まかせにできない分、稀にタイミングが合わないこともありますが、むしろ「次こそはキレイに決めてやる!」と思わせてくれるのも、スポーツカーを操る楽しさといえるでしょう。

 こうした「911カレラT」の楽しさは、ベースモデルである「911カレラ」の高い完成度と素性のよさの証明でもありますが、ノーマルモデルはより幅広いシーンで、より多くの人の用途に応えなければならなりません。例えるなら、本質こそ変わりませんが、ノーマルの「911カレラ」は良質なスーツに身を包んだ知性的なアスリート、「911カレラT」は休日モードの動きやすいシャツ姿、といった感じでしょうか。

 ただ惜しむらくは、「911」のグレードアップにともない、「911カレラT」の新車を手に入れることができなくなってしまったということです。

 とはいえ、認定中古車をメインとするユーズドカー市場では新車に近いコンディションの「911カレラT」がちらほらと存在しています。最新世代の「911」が秘めたピュアなドライビングプレジャーを堪能したいという方にとっては、今こそラストチャンスなのかもしれません。

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村田尚之
村田尚之
フリーランスライター・フォトグラファー
東京都出身。学生時代から雑誌の編集に携わる。自動車専門誌やメーカー広報誌などを手がける編集プロダクションを経て、2002年にフリーランスライター・フォトグラファーとして独立。クルマや旅客機、鉄道など乗り物関連の専門誌やニュースサイトを中心に執筆・撮影。『羽田空港アーカイブ1931-2023』(徳間書店)、『ANAの本。』(誠文堂新 光社)など書籍の制作にも携わる

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