ポルシェ×東京大学がトラクターをレストア!? ものづくりが好きな若者向けプログラム「LEARN with Porsche」にポルシェが参画する理由【Behind the Product #15】
見事な知恵とチームワークで効率的な農作業を推進
4日目には、必要とされていた整備作業も無事に終了。お昼前には池田さんが試運転を実施しました。

整備されたトラクターは、「森の馬小屋」内の広場を軽やかに駆け、坂道を力強く登ります。数日間、自分たちの手を汚し、額に汗をにじませ、時にはしかられつつも取り組んだ整備作業の成果を目の当たりにした学生たちは大喜び。彼らの眼差しからは自信のようなものが伝わってきました。
午後になると、近所で農業を営む近藤さんの農場に舞台を移し、トラクターの試乗と農作業を体験することに。
刈り取り直後の小麦畑で、学生たちもちょっとした運転体験をおこないましたが、誰もがその走りに興味津々。広大な畑を力強く、そして自在に動くトラクターの勇姿にすっかり魅了されたようでした。
その後、隣接する畑で白菜の植えつけを体験することに。実はここで、大人たちにとってちょっとした誤算が生じたのです。
課題として近藤さんが提供したのは、2500株ほどの白菜の苗。これを、畑の畝(うね)に50cm間隔で小さなくぼみを設けて植えていきます。学生たちは2名ずつペアを組み、手作業で植えつけ。総延長約1200mにも及ぶ過酷な作業の始まりです。
1ペア当たり大人1名がサポート役として加わり、4チームで作業に当たったのですが、その進度はさまざま。適切な間隔を測り、指で小さな穴をつくり、中腰で苗を植えていくという作業は、想像以上の重労働でした。
協力いただいた農家の皆さんと「LEARN with Porsche」のチーム、そして、池田さんと田中さんは、途中で白菜植えつけ用の農機を投入し、機械化による農作業の効率化を学生たちに感じてもらおうと考えていたようですが、ここで先述した“誤算”が生じます。なんと、女子学生2名のチームが、手作業ながら驚くほどのスピードで作業を進めていったのです。
まず、ひとりが棒を使って適度な間隔を測りつつ穴をつくり、続いてもうひとりがその穴に次々と苗を置いていきます。その後、ふたりでスタート地点に戻り、ひとつひとつの苗に土を被せて植えつける……見事に知恵を働かせたチームワークによって、効率的に作業を進めていったのです。
これには先生役の大人たちも驚いた様子。効率化のために用意された農機類も、お披露目程度ではなく本気で彼女たちの作業を追いかけることになったのでした。
広大な畑で農業に取り組むには、人手や体力、効率などの面から、トラクターなどの農機は不可欠でしょう。しかし、限られた条件ではあるものの、与えられた課題に対してどうしたら効率的に課題をクリアできるのか、考えを巡らせ、実行に移す彼女たちの姿からは、学生たちの気づきや学び、成長する様子を見て取ることができました。
と同時に、真剣に植えつけ勝負に挑んだことで、農業の大変さや大事さを身を持って経験したに違いありません。
こうした5日間のプログラムを通じて、参加した学生たちは何を得て、どんな変化を感じとったのでしょう?
トラクターのレストアと農作業という日常では味わったことのない経験が、彼ら、彼女たちの人生における岐路でどのような影響を与えるのか? それを実感するのは、1か月後なのか10年後なのかは分かりません。
とはいえ、多感な高校時代の経験が、その後の人生を大きく左右することもあるでしょう。また、学校生活とは異なるシチュエーションは、少なからぬ印象を記憶に刻むのは間違いないでしょう。
こうして見ると、「LEARN with Porsche」のプログラム、とりわけ“ポルシェで耕せ~”は、特定の結論に参加者を導くのではなく、自由に学ぶ場所や機会、そしてテーマを提供して、考えること、行動することの意味や意義、夢や希望を持つことの大切さに気づいてもらうプログラムなのだと改めて感じました。
●若者が“夢”を抱き、それをかなえるきっかけを提供したい
しかしなぜ、ポルシェジャパンは同プログラムへの参画を決めたのでしょう?

ポルシェジャパンの広報部長であり、「LEARN」への参画に尽力した黒岩真治さんは、「ドイツの自動車を輸入する海外法人といえども、我々は日本に根差した企業です。そのため社会的な責任を果たしたいのです」とその理由を語ります。
ポルシェジャパンが展開するCSR活動は多岐にわたりますが、そのひとつとして、「未来を担う若者が“夢”を抱き、それをかなえようとするきっかけを提供したいと考えていました」と黒岩さんは振り返ります。
「LEARN」で展開されるプログラムは簡単なテーマではありませんし、ましてや自動車インポーターとしての本業でもありません。しかし、ポルシェは国境を越え、こうしたテーマに長年にわたって取り組んできた歴史を持っています。
それはなぜか? といえば、冒頭に記したフェリー・ポルシェの言葉が原動力となっているのは間違いありません。
ちなみにフェリー・ポルシェは、次のようなコメントも残しています。
「自らの夢をビジネスにすることができた幸運な人々は、夢を追いかける人々をサポートする義務がある」
この言葉を知れば知るほど、「LEARN」への参画はポルシェジャパンにとって極めて自然な判断だったといえるでしょう。
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