生産終了が惜しまれる“第3世代「GT-R」”の不朽の魅力とは? 世界のサーキットで鍛えられたR35の“最終仕様”とニュルを攻めた“NISMOモデル”
サーキット直系のフラッグシップ「GT-R NISMO」
多数投入されたR35 GT-Rの特別仕様の中でも象徴的な存在といえるのが、日産のモータースポーツブランドであるNISMOの名を冠したモデルです。
2013年2月26日、日産の純正コンプリートカーシリーズである「NISMOロードカー」に「GT-R」が加わることが発表され、大きな話題となりました。
モータースポーツで得た知見と技術が惜しみなく投入された「GT-R NISMO」は、最高出力600ps/6800rpm、最大トルク652Nm/3600〜5600rpmまで心臓部を強化。
300km/hで強力なダウンフォースを発生させる空力パッケージと、超高速域でも並外れた路面追従性を実現する専用サスペンションが与えられるなど、“ニュルを速く走るための専用装備“がプラスされていました。
その結果、ニュルブルクリンク北コースにおいて、「GT-R」が持っていた従来の記録を約10秒も上回る7分08秒679の量産車最速タイムを記録。
このタイムアタックに使用された仕様とほぼ同じパッケージの「GT-R NISMO」を、ユーザーがそのまま購入できたことは特筆すべきポイントです。
そしてNISMOの技術は、「GT-R NISMO」だけでなく派生モデルにもフィードバックされました。2014年11月には、NISMOのパーツを流用することでベース車の走行性能を高めた「トラックエディション engineered by nismo」が2015年モデルとして登場。サーキット志向のユーザーに向けた“架け橋的なグレード“として人気を集めました。

もちろん「GT-R NISMO」自体も進化を続け、先行投入されていた2017年モデルをベースにマイナーチェンジを受けたモデルが2016年8月に登場。その後、2019年4月には2020年モデルが、2021年8月には2022年モデルが投入され、同タイミングで「GT-R NISMO スペシャルエディション」も追加されました。
「GT-R NISMO スペシャルエディション」は、「GT-R NISMO」をベースに、NISMO専用カーボン製エンジンフード(NACAダクトつき)やレッドリム加飾つき専用レイズ製20インチ鍛造アルミホイール、高精度重量バランス部品を用いたエンジンなどを組み合わせたスペシャルな仕様です。2023年3月には2024年モデルが登場。そして、2024年3月に発表された2025年モデルが最終仕様となり、今回の特別展示に並べられました。
なお、2018年に発表されたイタリアのカロッツェリア・イタルデザインとの共同開発モデル「Nissan GT-R50 by Italdesign」のベース車となったのも、この「GT-R NISMO」でした。量産モデルとしての「GT-R」と、少量生産のスペシャリティモデルとの橋渡し役を担った存在といえるでしょう。
●ニュル最速を刻んだ「NISMO N-アタックパッケージ」
今回の展示の中でモータースポーツファンの視線を釘づけにしていたのが、2013年の「GT-R NISMO N-アタックパッケージ タイムアタック車」です。

2013年、NISMOロードカーのフラッグシップとして「GT-R NISMO」を送り出すに当たって最高の1台へと仕上げるべく、ニュルブルクリンクに合わせた特別仕様を加えた「GT-R NISMO」でタイムアタックが実施されました。参加したのは4人のレーシングドライバー。その中で最速ラップを叩き出したのがミハエル・クルム選手です。
タイムアタックに用いられた専用オプションは「NISMO N-アタックパッケージ」として市販され、LSDや専用サスペンション、フロントブレーキパッドなどの機能部品に加え、軽量化と空力性能向上を狙ったカーボンフロントフェンダー、フロントスポイラー、リアウイング、フルバケットシートなどがセットされました。
タイムアタック車同様に2シーター化された仕様のほか、同様のパッケージながら実用性を重視した4シーター仕様も選ぶことが可能でした。
今回の展示車は、まさにそのタイムアタックに用いられ、当時の量産車最速となる7分08秒679を記録した実車そのもの。R35「GT-R」がニュルで築き上げた伝説を物語る1台といえます。
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イベントタイトル「FOREVE“R”~GT-Rファンは永遠に~」が示すとおり、R35の生産終了は決して「GT-R」という物語の終わりではありません。
専用プラットフォームとVR38DETTを引っさげて登場したR35は、「300km/hで会話できる究極のグランツーリスモ」として誕生し、ニュルでの量産車最速記録やNISMO仕様によるタイムアタックなど、世界のサーキットで戦い続けた第3世代「GT-R」として、その名を歴史に刻みました。
今回展示されたR35は、約20年にわたって熟成を重ねてきた“世界の「GT-R」”の集大成ともいえる存在。次世代の「GT-R」がどんな姿で現れるのかは分かりませんが、R35が残した走りの記憶と技術、そして世界中のファンの熱量は、きっと次章へと受け継がれることでしょう。
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