当代随一のスポーツセダンに“別格の特別仕様車”誕生! アルファ ロメオ「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」で味わえる“官能性の正体”とは
ワインディングでの無敵感──520psがもたらす“エクストラな伸び”
それはともかくとして、「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」はワインディングロードにおいて、「やっぱり無敵!」といえるくらい、楽しく気持ちのいい走りを味わわせてくれました。
11.7対1という強烈にクイックなステアリングギアレシオが生む、俊敏という言葉では足りないほどのノーズの反応、それをしっかり受けとめて破綻させないロングホイールベースの安定方向にあるシャシー……それらのバランスの絶妙なこと!
すでに路面は冷え冷えの季節ですし、パワーがパワー、トルクがトルクだから、ペダルワークには細心の注意を払わないと後輪がスパッ! とグリップを放棄しようとするのですが、それでもやめられないくらいの抜群のハンドリング。「ジュリア」は確かにセダンではありますが、こういう場所を走ってこそ活きるモデル。こういう場所でクルマと自分に向き合うためのクルマ。なかでも「ジュリア クアドリフォリオ」は、その辺りの濃度が最も濃いモデルなのです。
プラス10psとなった520psの威力はどうだったか? といえば、実はその10psの効果そのものは、僕には体感できませんでした。にも関わらず、先に「効果は絶大」と記したのはなぜか? それはフィーリングにあったのです。
実は2019年に、日本ではたった6台のみが販売されたスペチアーレと呼ぶべきモデル「ジュリア クアドリフォリオ F1トリビュート」というモデルがありました。海外では「ジュリア クアドリフォリオ レーシングエディション」と呼ばれたモデルです。

ザウバーと組んでF1グランプリに再参戦したことを記念したそのモデルのスペックが、実は今回の「エストレマ」と同じなのでした。数年前、その中の貴重な1台のステアリングを握らせていただいたのですが、「エストレマ」のエンジンのフィーリングはそれと全く同じだったのです。おそらく施されたチューンナップも、同一なのだと思います。懐かしさとともに、あのときの感動が蘇ってきました。
「ジュリア クアドリフォリオ」の2.9リッターV6ツインターボエンジンは、未体験の人にはちょっと想像できないかもしれませんが、実は低速域からたっぷりとしたトルクを発し、日常領域での扱いやすさをしっかりと持ち合わせています。
が、ひとたびアクセルペダルを踏みつけると、それこそ低いギアでは瞬時にエンジンが吹け切るような鋭さを見せ、路面が凍てついてたりぬれてたりすると3速辺りまではターボがグッと効いた瞬間にホイールスピンを見せるような、強烈な特性を見せてくれたりもします。
が、それは鋭いというだけのことで、パワーやトルクはこの手のエンジンにしては比較的フラットといってもいい性格。だから、どこから踏んでもすさまじい加速を味わえるのだな、なんて思っていました。十分に満足も納得もいく、ダイナミックにしてドラマティックなパワートレーンなのです。
それに対して、「F1トリビュート」と「エストレマ」の520ps仕様はどうかといえば、基本的な性格は同じといえるのですが、気持ちよく伸びていく回転の最後の1500〜2000回転くらいで、実はもうひと伸びがあるのです。エンジンをブチ回していくときの楽しさ。エンジンが与えてくれる高揚感。そこが一段階、通常の「クアドリフォリオ」より厚くなっていて、よりエモーショナルなテイストを味わえるわけです。
僕などはオールドスクールなエンジン派ですから、それがどれだけ喜ばしいことか! パワーとトルクは黙っていてもたぎるほどあるので、いつでもどこでもその美味を味わえるというわけではありません。けれど、ときどき味わえるその美味しさには、思わず酔いしれてしまうのです。
冒頭で、「ジュリア クアドリフォリオ」の最も大きな価値について触れましたが、その辺りが仕様書から予想するよりさらに濃厚になってるのが、この「エストレマ」。僕はそう感じています。
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「ジュリア クアドリフォリオ」は2025年秋に、一度、生産終了に。ところがその翌月、2026年の4月から生産が再開されることがアナウンスされました。アルファロメオブランドを展開するステランティスの“電気自動車シフト計画”の見直しを受けて、他の現行モデルとともに2027年まで継続されることになるようです。
それでも「ジュリア」は、モデル末期に差しかかってることは間違いのない事実。新車で手に入れられる期間は限られています。
本記事でご紹介した「ジュリア クアドリフォリオ エストレマ」の価格(消費税込)は1447万円。絶対的な金額はとても安いとはいえませんが、実力と性格を知ってしまった身としては、適価であるとしかいえません。
次にまた、このクルマと同等のテイストを感じさせてくれるモデルが出てくる保証はありません。もしイタリア車やアルファ ロメオ、そしてスポーツセダンが好きで、手が届くのであれば、ぜひとも「エストレマ」をねらうべきでしょう。
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