スペックではなく“物語”でクルマを語る!? ヤングタイマー車が集結したカーフェス「ROMANTIC CARS」の参加者たちが笑顔だった理由とは【クルマ×アソビ#26】
「怒られるのが怖い」クルマ離れ世代の本音
なぜ「ROMANTIC CARS」は、これほどフラットで心地よいカーカルチャーイベントとなったのでしょうか? イベントの仕掛け人であるTBCC代表の南部翔也さんは、開催の背景にある思いを次のように話します。
「僕自身、子どもの頃から根っからのクルマオタクなんですが、一般的な旧車イベントに行くと皆さん口々に、どこをいじった、とか、スペックやチューニング費用の話になりがちです。もう少しクルマにまつわるロマンというか、『よく分からないけど、このクルマ、いいよね』と感性に訴えかけてくるヤングタイマー車の魅力をみんなで共有したくて、コミュニティを設けたり、イベントをおこなったりしています」
南部さんがこのフラットなイベント内容にこだわった背景には、同世代の若いクルマ好きがリアルに抱える心理的なハードルがありました。
「私は今、32歳で、いわゆる“クルマ離れ”の世代といわれます。その障壁のひとつになっているのが、正しく自動車文化を継承されてきたクルマ好きの諸先輩方に対する“恐怖”の念です。その世界へ入りたくても、ジョインするには敷居が高く、マナーやルールを守れなかったときには怒られるんじゃないかって、つい考えてしまうんです。
でも、僕らが扱っているヤングタイマー車のオーナーたちは、純正至上主義ではありませんし、いい意味で『自分が好きだから、いいでしょ!』という感覚で乗っている方が多い。今後はそういう感覚で楽しんでいる方々を肯定していきたいと考えているんです」(南部さん)
イベント会場を見渡す南部さんは、「来てくださった方の笑顔を見ていると、私たちが思い描いていた会になっています」と笑顔を見せます。

一般的なカーミーティングでよくある、全員集合しての代表者の挨拶や、じゃんけん大会などのイベントなど、主催者発信の強制的プログラムは、「ROMANTIC CARS」には一切ありません。
代わりに用意されていたのは、体験ブースやフォトスポットを通じ、参加者たちが自然と仲良くなれる仕掛け。変な政治や先輩後輩といったしきたりなどなく、イベント自体、参加者たちがフラットにつながれるステージとなっていました。
「特に若い方は、クルマ好きだからその愛車を買ったわけではなく、カルチャーが好きでクルマに興味を持っただけ、という方も多いんです。なので、まわりに乗っている友だちがいなくて、夜に友だちと走りに出かけるような経験も少ない。でも、この会場で皆さんのコミュニケーションが生まれているのを見て、私たちはもっとアクセルを踏んで、こういった場を提供していく必要があるなと感じました」(南部さん)
●クルマ好きの裾野を広げる“架け橋”でありたい
TBCCは現在、Instagramをベースとしたヤングタイマー車の個人売買仲介(カーマッチングサービス)や、自動車関連企業のYouTube・SNS動画を制作するマーケティング事業を展開。南部さん自身も、10年前に購入したお気に入りの黄色いフォルクスワーゲン「ゴルフ2」を大切に乗り続けているといいます。

とはいえ、昨今、ヤングタイマー車は価格が高騰中。一見、ネガティブな話題ですが、南部さんはそうした中にポジティブな変化を感じているといいます。
「人気の高さから、『ゴルフ2』やボルボ『240』は高くなってしまいましたが、昨今、感度が高い方はボルボ『960』や『V70』、『ゴルフ』だったら3、4、5辺り、あるいは、2000年前後のスバル『レガシィ』などを、『逆に可愛いんじゃない?』といって選ぶ文化も生まれています。ヤングタイマー車の裾野が広がっているんですね。私たちはそうやって、皆さんのヤングタイマー車に対するハードルを下げ、クルマ好きの裾野を広げたいと考えています」
南部さんは、TBCCの役割はディープなクルマ世界への“架け橋”だと定義します。由緒正しきクルマ文化を継承するディープなコミュニティはもちろんリスペクトしつつ、これからの展望に目を輝かせます。
「同じ車種に乗っている先輩を“師匠”と呼んでいろいろと教えてもらうのは美しいと思っています。ただ僕らは、そこに皆さんを送り込む役。最初の1ステップを僕らが提供し、もっとギークになりたい人はさらにディープな世界にはまっていけばいい。カジュアルに行くなら僕らと、うまく棲み分けができる気がしています」
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“そのクルマじゃなきゃだめだった”オーナーたちのそれぞれの物語と、カルチャーとしてクルマを楽しむ心地いい空間が融合したカーフェス「ROMANTIC CARS」。新世代のクルマ好きを肯定し、自動車文化の裾野を広げていくTBCCの今後の展開に注目したいところです。
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