なぜトヨタは「GR86」を進化させ続けるのか? レース仕様にはATを追加!? “0.5mm”にもこだわる“GR流スポーツカーづくり”とは
なぜ「GR86」の改良に“終わり”はないのか?
「GR86」にこうした細かな改良が施されるのは、今回が初めてではありません。
2023年の一部改良では、電子スロットルの出力特性を変更してコントロール性を向上。2024年には、モータースポーツ参戦で得た知見をもとにアブソーバーの減衰特性や電動パワーステアリング、MT車のスロットル特性などを変更しています。
つまり「GR86」は、誕生時点での仕様を完成形とするのではなく、レースなどで得た知見を市販車へフィードバックしながら育てられているのです。
今回の一部改良も、プロドライバーだけでなく、社内の評価ドライバーやエンジニアがサーキットとテストコースを走り込み、操作感を詰めたといいます。そんな改良スタイルに、GRが掲げる「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」が表れているといえるでしょう。
ドライバーがアクセルを踏み、ステアリングを切り、シフトレバーを動かす……そうした一連の操作に対して、クルマがどう応えるかを細かく磨き抜き、“意のままに操れる”感覚を高めているのです。
●レース仕様なのにAT! その狙いとは
さらに、ワンメイクレース「GR86/BRZ Cup」への参戦用車両である「GR86 Cup Car Basic」に、新たにAT仕様が設定されたのも注目です(2026年12月から生産開始予定)。
「レース参戦車両なのにATなんて?」と、意外に感じる人もいるでしょう。しかし、GRが掲げる狙いは明確で、トランスミッションの選択肢を増やすことで、より多くの人にスポーツ走行を楽しんでもらい、モータースポーツの裾野を広げるための設定だとしています。

MTはわずか約0.5mmの変更にまでこだわって操作フィールを磨く一方、レース参戦用車両にはATを用意する……一見すると正反対の動きに見えますが、根底にある考え方は共通しています。クルマ側の都合にドライバーを合わせるのではなく、それぞれのドライバーがスポーツカーを楽しめるよう選択肢と操作性を磨く、ということです。
現行の「GR86」は2021年の発売以降、世界累計約11万台を出荷。GR専用車種の中で最も多くのユーザーの元に届けられたモデルとなりました。GRは今後も「86」の文化をより強固なものにし、長く愛されるために「GR86」の魅力を高め続けるとしています。
大幅なパワーアップや派手な新機構の採用だけが、スポーツカーの進化ではありません。0.5mmまでこだわって“操る楽しさ”を磨き、走る楽しさへの入口を広げていく。今回の「GR86」の改良は、メーカーがクルマを売って終わり、というのではなく、モータースポーツとユーザーとともにクルマを育て続けるという“GR流のスポーツカーづくり”を象徴するアップデートといえそうです。
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