「世界最速の4気筒エンジン搭載モデル」ロータス新型「エミーラ420スポーツ」の軽快感はどこからくる? 進化した足回りの走りを英国で試乗した
420スポーツの足回りが格段に進化
今回、私が試乗したのも、このライトウェイト・ハンドリング・パックを装備したモデルでした。
まずはヘセル近郊の一般道で420スポーツを試してみました。
最初に印象に残ったのは、狭くて曲がりくねったイギリスの田舎道でも、思いのままに操れる軽快感な操縦性でした。

ライトウェイト・ハンドリング・パックを装着したエミーラ420スポーツの車重は、スーパースポーツカーに比べればはるかに軽い1430kg。しかも、全幅は1895mmしかないのですから、狭い道でも扱い易いのは当然かもしれませんが、それらとともに視界が良好で、ボディーの見切りがいいことも、こうした狭い道での扱い易さにつながっているように思いました。
もちろん、ステアリングレスポンスはあくまでも過敏にならない範囲で素早く、ハンドリングの正確さも文句なし。また、これは420スポーツに限らずすべてのエミーラに共通していえることですが、コーナリングで限界近くまで追い込んでもトリッキーな挙動を示すことなく、安定した姿勢を保ち続けるのも嬉しいポイントといえます。
いっぽう、高度にチューニングされた2リッター・エンジンのレスポンスが低回転域でやや鈍く感じられるのはやむを得ないところですが、高回転域を保って過給圧を高めておけば、いつでも十分なパワーが手に入るので、ワインディングロードやサーキットで不自由することはないでしょう。
サーキットで試乗しても、420スポーツの印象は変わりませんでした。
サスペンションがしなやかにストロークしてくれるおかげで安定したグリップ感が得られるいっぽう、姿勢変化がよく抑えられているのでステアリング・レスポンスも良好。限界域での反応も、期待どおり安定したものでした。
路面からの素早い入力に対して的確に反応できなかった既存のエミーラに比べて、420スポーツの足回りが格段に進化していることは火を見るよりも明らかでした。
こうした420スポーツの乗り味を生み出すうえでもっとも大切な役割を果たしたのが、マルチマチック製のスプールバルブ・ダンパーでした。
従来のダンパーは、板バネ状をしたシムと呼ばれるパーツを多数組み合わせることでオイルが移動する速度を制限し、減衰力を生み出していました。ただし、この方式では経年変化が起きやすいほか、速い周波数帯域での応答性が低いなどの問題点がありました。
いっぽう、マルチマチックのスプールバルブダンパーは、頑丈な金属製パイプの側面に開けたオリフィスによってオイルの流入速度を規定。この金属製パイプをコイルスプリングで支え、オイルの圧力に応じてオリフィスの位置を可変させることで流入速度を調整し、あらかじめ設定された減衰力を生み出す仕組みとされています。このため経年変化がほぼなく、高周波域でも適切な減衰力が生み出せるといいます。
一般的にはあまり知られていないマルチマチックですが、F1を始めとするモータースポーツ界では、いまやなくてはならない存在といわれるほど優れた技術力を誇ります。そんなマルチマチックのダンパーを用いたからこそ、420スポーツのような優れた足回りが完成したのでしょう。
エミーラ420スポーツの価格は2000万円を大きく越えるようですが、その価値は十分にあるように感じました。
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