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峠なら「YZF-R9」、ツーリングなら「XSR900GP」か? ヤマハの3気筒スポーツ2台を乗り比べて分かった“見た目以上の違い”とは

現代のスーパースポーツか? 1980年代GPレーサーへのオマージュか?

 ヤマハのスーパースポーツバイク「YZF-R」シリーズに、2025年10月に新モデルとして加わった「YZF-R9」。ヤマハが得意とする3気筒エンジン“CP3”を搭載しているのが特徴です。

 同系統の“CP3”エンジンを搭載するスポーツバイクとして、ヤマハには2024年発売の「XSR900GP」が存在しますが、実際に乗り比べてみるとそれぞれの走行フィールは見た目以上に異なります。

 カウルをまとったスポーツバイクという点こそ共通ですが、それぞれの乗り味にはどのような違いがあるのか、実走インプレッションを交えてお伝えします。

「YZF-R9」はその名のとおり、本格的なスーパースポーツバイクです。単眼のヘッドランプをダクト内部に置く「YZF-R」シリーズらしいアグレッシブなフロントフェイスにウイングレットを組み合わせ、ふたつのポジションランプと相まって迫力をさらに増しています。

 対する「XSR900GP」は、1980年代に人気を博した“レーサーレプリカ”的なスタイリングが特徴。丸みを帯びたハーフタイプのカウルと、別体式のナックルバイザーが当時のレーサーを思い起こさせます。カウル上部とフレームをつなぐ丸パイプのステーや、1991年型「TZR250R」でも使われたベータピンによる固定方法など、往年のレーシングマシンを思わせるディテールも盛り込まれています。

 共通する“CP3”エンジンは888ccの3気筒。120ps/1万rpmの最高出力と、93Nm/7000rpmの最大トルクなどのスペックは共通です。特に、アクセルを開けた際のレスポンスのいい加速力には定評があり、いまやヤマハを代表するパワーユニットとなっています。

ヤマハ「YZF-R9」
ヤマハ「YZF-R9」

 価格(消費税込)は「YZF-R9」が149万6000円、「XSR900GP」が143万円(イエローカラーは146万3000円)となっています。

●走行フィールはルックスのイメージどおり

 同系統の“CP3”エンジンを搭載しているだけでなく、セパレートタイプのハンドルで前傾の乗車姿勢となるなど、共通する部分が多い2モデルですが、実際に乗り比べてみると、印象はかなり違いました。

 まずライディングポジションは、「YZF-R9」の方がハンドル位置が低く、前傾がキツめ。シート高は830mmと「XSR900GP」に比べて5mm低く、着座位置が前寄りなため、全体がコンパクトになった感覚です。

 対する「XSR900GP」は、前傾はそれほどキツくありませんが、ハンドル位置がやや遠く1980年代のスポーツバイクに近い感覚。シートは厚みが結構あるので、ツーリングに出かけてもお尻は痛くなりにくいでしょう。

 走り出すと「YZF-R9」のコンパクトさがさらに際立ちます。小さく感じる車体を体の下で扱える感覚で、車線変更なども俊敏におこなえる印象。これは「XSR900GP」に比べて80mmも短い1420mmというホイールベースの効果でしょう。

 コーナリングも向きが変わるのが速く、まさに現代のスーパースポーツらしいもの。このハンドリングには、剛性を増しながらメインフレーム単体でヤマハの歴代スーパースポーツの中で最も軽量に仕上がっている新設計フレームが効いています。この排気量のスーパースポーツバイクの中で、タイトな峠道をこれほど楽しめるモデルはそう多くはありません。

ヤマハ「XSR900GP」
ヤマハ「XSR900GP」

「XSR900GP」は、長めのホイールベースの効果もあって安定性が高いフィーリング。スイングアームが長く取られているため、しっかりとバンクさせてアクセルを開けて行くような高速コーナーが楽しいモデルだといえます。

 タイトな峠道やサーキットで速いのは「YZF-R9」でしょうが、ワインディングを含めたツーリングに使うなら、こちらのハンドリングの方が好みというライダーは少なくないでしょう。

 意外だったのは、エンジンのフィーリングにも違いを感じられたこと。同系統の“CP3”エンジンを搭載していても「XSR900GP」や「MT-09」では過激に感じられた加速が、「YZF-R9」ではコントロールしやすく感じました。

 これは、車体と一体感の高いライディングポジションや、剛性感を高めたフレーム、カヤバ製の新構造サスペンションに加え、「YZF-R9」専用のパワートレインセッティングなども影響しているのでしょう。俊敏な加速に対してライダーの感覚が遅れないため、より積極的にアクセルを開けていくことができます。

 スタイリングについては「YZF-R9」はスーパースポーツ的で、「XSR900GP」はレーサーレプリカ的と書きましたが、走行フィーリングについてもこの分類が当てはまります。

 サーキットでより速く走れることを意識しているのは「YZF-R9」でしょうが、ワインディングでどちらを好むかはライダーによって分かれそう。少し長めのツーリングを視野に入れると「XSR900GP」を選んだ方が幸せになれるライダーは少なくなさそうです。

* * *

 同系統の“CP3”エンジンを搭載し、車体パッケージにも共通点のある「YZF-R9」と「XSR900GP」ですが、実際に乗り比べてみると異なる個性を持っています。

“CP3”エンジンは多くのモデルに搭載されていますが、モデルによって特性が異なるように感じられることも、このエンジンが幅広い車種に展開される理由なのかもしれません。

Gallery 【画像】超カッコいい! ヤマハ「YZF-R9」と「XSR900GP」を写真で見る(30枚以上)
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